【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、バチカンで11月4日、水曜恒例の一般謁見を行い、カテケーシス(教会の教えの解説)で、教皇は中世のキリスト教著作家・思想家をテーマとしながら、修道院神学とスコラ神学を考察した。
12世紀の神学の主要な流れである修道院神学とスコラ神学を対比して、教皇は前者をある意味で「心の神学」、後者を「理性の神学」と呼ぶことができると語った。
教皇は当時この両派の間に生まれた議論を象徴するものとして、神学者クレルヴォーの聖ベルナルドとアベラールの間の論争を取り上げた。修道院神学を代表する聖ベルナルドは神学で「信仰」に重きを置き、一方、アベラールは「理性」をもとに理解しようと努めた。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は、1140年のサンス公会議で、アベラールの教説のいくつかの誤りを指摘したのはベルナルドであったが、それは哲学の過剰な導入がアベラールの神学の教えを脆弱なものにする危険があったゆえ、と指摘した。一方で、教皇は後の成熟したスコラ神学の発展に対するアベラールの偉大な貢献にも言及された。
教皇は、両者の神学的比較に、教会の健全な神学論議の有用性と必要を見出すと共に、教会の権威への謙遜な従順の大切さも指摘し、これらの神学研究が、教会の信仰を守り、愛における真理を勝利させるという目的は、今日も変わっていないと語った。