米国務省は、26日に発表した「世界各国の宗教の自由に関する2009年版年次報告書」で、宗教の自由について「特に懸念のある国」として、昨年度と同様に北朝鮮や中国、イランなど8カ国を指定した。中国については、新疆ウイグル自治区やチベット自治区で依然厳しい宗教活動の制限があると指摘しつつも、政府が脅威ではないと見なした宗教団体においては、活動規制が緩和されるなど一定の改善があったと評価を示した。
ボズナー国務次官補(人権労働担当)は同日開かれた記者会見で、中国のキリスト教の状況について「政府から認められている教会も多数ではないがある。だが多くの場合、(政府)非公認の教会で、そこでおおよそ5〜9千万人の人々がキリスト教を実践している」と言及。政府が認めていない家の教会(地下教会)がキリスト教のコミュニティとして急速に成長しており、中国における一つの「有望な事例」として挙げた。
報告書は、宗教活動を理由とした逮捕はないとしている中国政府の姿勢については、「実際には多くの宗教指導者を拘束、逮捕している」と否定し、抑圧をやめるよう求めている。北朝鮮に対しては、宗教の自由が著しく損なわれている状況に変わりはないと批判。15〜20万人が収容されていると見られる北朝鮮国内の政治犯収容所では、宗教活動を理由に拘束された人たちの扱いが特に厳しい状況にあると指摘した。
「特に懸念のある国」には、北朝鮮、中国、イランのほかに、ミャンマー、ウズベキスタン、サウジアラビア、スーダン、エリトリアが指定された。