礼拝奉仕とキリスト教音楽の活性化をテーマにしたフォーラムが22日、東京都立川市の「99+TACHIKAWA」であり、礼拝奉仕者ら約60人が集まった。パネリストらの豊富な経験を事例に、奉仕環境や賛美の意義、アーティスト育成などの諸問題について意見を交わそうと教会音楽家養成学校「ワーシップ・ジャパン」(ジョシュア佐佐木学長)が主催した。
この日のフォーラムでは、林幸司氏(東京メトロチャーチ牧師)、田島実氏(神の家族・主イエスキリスト教会牧師)、桑原義門氏(ユアチャーチ・ゴスペルハウス牧師、音楽プロデューサー)、鈴木幹夫氏(有限会社エムエージー代表取締役)、伊藤治哉氏(株式会社アサフ代表取締役)がパネリストとなり、拡大宣教学院長で東北中央協会牧師の永井信義氏がコーディネーターを務めた。
「未信者にも門戸開いて」
米クライスト・フォー・ザ・ネーションズ神学校でワーシップを学んだ林氏は、牧師と賛美奉仕者がコミュニケーションを怠らないことが大切と指摘した。同氏は「人間のこだわりを神はこだわらない」と述べ、牧師が賛美奉仕者やアーティストの境遇や賜物に対する理解を深めることや、神の働きかけを信じて未信者に機会を与えることも必要だと語った。また、牧師同士が互いに打ち解け、協力できるようになればと述べた。
青少年への宣教に重点を置く田島氏は、プロの演奏家らを交えてワーシップCDを制作した経験を紹介。音楽に長けた未信者の救いを願う心で教会の門戸を開いていきたいと語った。同氏の教会では小学校低学年から音楽要素を取り入れたプログラムを取り入れ、児童のリズム感を養っていると紹介した。
アーティスト保護の環境作り必要
桑原氏は、教会音楽が社会に通用する水準に育ってほしいという願いから、アーティストの発掘と育成、諸教会への音楽的啓蒙を志している。桑原氏は、高い水準の技術をもつアーティストが正当に評価されるための環境作りが急務であり、アーティストと評価者である聞き手の双方が成長しないといけないと語った。また、「賛美は信徒の説教。神の言葉を取り次いでいるのと同じ」と述べ、賛美奉仕者や賛美そのものに対する意識を高く持つよう訴えた。
まず教会員同士の信頼
鈴木氏はヒルソング、レーナ・マリア、ドン・モーエンら海外アーティストのステージやブロードウェイミュージカル日本公演等も手がける日本のクリスチャン音響設備(=PA)エンジニアの草分け的存在。同氏は、教会内で世代間のコミュニケーションや配慮が失われないよう注意を呼びかけた。例えば、米国教会の礼拝はシンプルで、若者たちは目上の人々を尊重する姿勢で一緒に静かに礼拝を守り、夕方は若者だけのワーシップ集会で躍動的に賛美していたという。また、日本の某教会では青少年伝道が成功して若い世代が増え、礼拝を世代別に行うようにしたところ、教勢が急激に落ちたという実例を紹介した。
鈴木氏は、教会が音響設備の必要性をもっと理解する必要があると指摘した。次世代を育てる気持ちで若者に音響などの裏方の奉仕を任せ、奉仕者を増やしてほしいと語った。「誰にも賜物がある。裏方奉仕の面白さを教えてあげたい」。
桑原氏も「イエスさまが5千人の前で語るとき音が全員に届くような場所を選んだはず。イエスさまは最高の音響マン」と述べ、音を届けることの重要性を強調した。
伊藤氏は、クリスチャン・アーティストのプロデューサーとして、日本のワーシップ界の成長に期待を語った。「賛美は、形だけではない。魂から賛美しないといけない」。カリスマ性のある和製リーダーの誕生を待っている、と希望を語った。