ローマ教皇庁は20日、聖公会の教職・信徒受け入れへ道筋をつけたと発表した。16世紀にヘンリー8世の離婚問題で分裂が決定的となって以来、約450年ぶりの動きとなる。米CNN(日本語電子版)が伝えた。
バチカン放送局(日本語電子版)によると、教皇ベネディクト16世が聖公会からカトリック教会へ移ることを望む聖職者、信徒らに応えるための使徒憲章を承認。同憲章は後日発表されるが、教皇庁教理省は20日の記者会見で、「世界各地の聖公会の聖職者、信徒のグループからの多くの要望に応えることを目指す」とする同憲章の概要を発表した。
同憲章では、聖公会出身者の扱いについてカトリック教会の教会法上の一つの組織である「属人的司教区(オルディナリアーティ・ペルソナーリ)」を用いるとしている。通常は司教区が各地域別に所轄する形をとるが、属人的司教区では、軍隊生活などの特殊な状況や典礼上の理由から、そのための専用の司牧を必要とする一定のグループ単位での所轄が行われる。「属人的」とは信徒が地域に属するのではなく、その教区の責任者に属することを意味する。
このモデルを使用することで、地域ごとで異なる状況にも対応でき、また聖公会出身者が聖公会の伝統、典礼の要素を保ち続けることが可能だという。
一方同日、聖公会の霊的最高指導者であるカンタベリー大主教とカトリックのウェストミンスター大司教が共同声明を発表。声明で、同憲章が聖公会とカトリック教会の間にある信仰、教理、精神性における本質的な一致のさらなる認識を示すものだと指摘。これまで長年にわたって行われてきた両者間のエキュメニカルな対話の成果だとした。