種子島の教会でクリスチャンになり、ペンテコステ派の生駒聖書学院に牧師の推薦を受けて入学しました。
驚いたのは、神学生たちの熱心な祈りと伝道への情熱でした。また学院長の「祈りとは求めることです」という強い体験に基づいた勧めでした。学院の5千坪の土地から建物、備品からすべての必要は、祈りの答えとして与えられ備えられたものでした。
学院長はイギリス人でしたので、ジョージ・ミュラーを尊敬し、彼が祈りだけでブリストルの丘に孤児院を創設し、海外宣教師を100名以上送り出していたことをよく話してくれました。
祈りとは神との高尚な対話であるとともに、子どもが父に求めるように必要を願っても良いことを、聖書を通しても学び、また、靴に穴が空いた時に、実際にその必要を求めて満たされたことで、それがまさに本当のことであると経験しました。
一方、そのような中で、聖霊のバプテスマのしるしは異言であると教えられました。使徒の働きを読むと、ペンテコステの日の話やコルネリオの家での出来事、さらにエペソでの話においても、聖霊が臨み満ちたとき、人々が異言を語ったという記述があることに気づきました。
しかし私は、「しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります」(使徒1:8)とありますが、それは初代教会での話であり、現代はその聖霊の力の中にあると理解していました。そのため、洗礼を受けクリスチャンとなったとき、すでにその約束の中に入れられ、異言の経験はしなくても良いと思っていました。
ある祈祷会のとき、聖霊のバプテスマを体験するよう招きがありました。瞬間イヤだなと思ったのですが、皆の熱心な祈りの中に座していました。早くその騒がしさが静まるようにとも祈りました。
しかしその瞬間、自分の気持ちが穏やかになり、すごく素直になるのが分かり、静かに委ねますと主を仰いだとき、不思議な平安に包まれ、聖霊に満たされて、今まで一度も口にしたことのないような異言を語っていました。それまでは祈りは形式であり、長時間の祈りも苦手でしたが、聖霊に解き放たれたとでも言うのでしょうか。イエス様の約束が現実となる恵みを体験しました。
「さて、祭りの終わりの大いなる日に、イエスは立って、大声で言われた。『だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる』」(ヨハネ7:37‐38)
これは、イエスを信じる者が後になってから受ける御霊のことを言われた約束についての箇所です。イエスが十字架上で死なれ、3日目に復活され、聖霊のバプテスマの約束を語られて召天し、そして迎えたペンテコステの日以来、すべての信ずる者へ与えられている約束でした。
聖歌に「目にいるものみな輝く、聖霊来たれり」という歌詞があります。この歌詞と同様に、私はその日以来、目に入るものすべてが神の臨在に輝くように見え、また最高にすばらしかったことは、私にとって聖書が生きて働く神のことばとして、まさに現実のものとなったことでした。
さらに、聖霊がイエス・キリストを証しする力として臨み、聖霊のバプテスマを受けたすぐ後には、殺人者を救いに導く恵みが与えられました。「みことばには人を救う力がある」という約束を体験し、その日以来、「アーメンと言えば救われます」と、イエス・キリストの救いの証しを続けています。
聖霊のバプテスマの体験は瞬間でした。30秒の祈りが世界を変えます。主よ。助けてください、で助けていただけます。心を開いた瞬間、聖霊に満たされ続けることができるのです。「御霊に満たされなさい」(エペソ5:18)のみことばに、「アーメン。ありがとうございます。満たされました。感謝します。ハレルヤ」と素直に信じるとき、聖霊に大きな祝福の中で力を受けて、世界の果てまでキリストの証人になれるのです。また、そうするときに、聖霊による祈りの祝福が与えられ、神の御旨にそう祈りが自由になることは言うまでもありません。
「御霊も同じようにして、弱い私たちを助けてくださいます。私たちは、どのように祈ったらよいかわからないのですが、御霊ご自身が、言いようもない深いうめきによって、私たちのためにとりなしてくださいます。人間の心を探り窮める方は、御霊の思いが何かをよく知っておられます。なぜなら、御霊は、神のみこころに従って、聖徒のためにとりなしをしてくださるからです」(ローマ8:26‐27)
榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。