10月第1主日にあたる今月4日は世界聖餐日だった。世界の教会が主にあってひとつの有機的共同体であることを再確認する日だ。同時に、元来、特定の伝道方策のために教会を挙げて特別に献金を募る機会でもある。日本の教会も、総力を挙げて次世代を育てる新しい道を模索する必要がある。
世界聖餐日は1936年、米合衆国長老教会傘下の全世界の教会で行われたのが始まり。当初から教会の運営と発展に役立てようという計画があった。全米教会協議会(NCC)の前身である米連邦教会協議会(Federal Council of Churches)の伝道局が1940年に採用し、全世界の関連教会を中心に広まった。
現在、合同メソジスト教会はこの日のための特別献金を大学生と大学院生の奨学金プログラムに充てている。献金の半分を通常奨学金とし、その半分を米国以外で学ぶ学生に特化して支給する。35%は少数民族出身者向け奨学金、15%は教職者の研修プログラムに充て、着任間もない教職者の牧会支援に大きく寄与している。2006年から08年に寄せられた特別献金は毎年100万ドル(約1億円)を超える。
母子家庭支援、学童保育、学習支援などのプログラムに充てて社会貢献をする教会もある。献金が次世代を担う若い働き手を直接的に支援でき、伝道の可能性を広げられる点は、献金者にとっても大きな魅力だ。
教会の抱えるさまざまな課題を洗い出し、全教会が総力を結集して総合的かつ大胆な方策を打ち出す必要がある。信徒数と経済力では米国の各教会にはとてもかなわないが、日本福音同盟や日本キリスト教協議会など教団、教会、団体などをつなげる組織が主導すれば大きな力となる。
献身者の減少や神学校の経営難といった問題は、日本全体の問題として抜本的な改革を模索すべきではないだろうか。例えば、海外の神学大学、大学院と提携して学生を送り出すと同時に奨学金制度を創設したり、国内の複数の学校が単位制を採用して単位交換や通信教育などで連携したりすれば、社会人からの転身や遠隔地での学習も容易になる。高度な教育を開放し、共有することは、全教会の牧会の質を底上げすることにつながる。
クリスチャン家庭の若者や未信者と結婚した信仰者が教会から離れてしまうというケースも深刻だ。彼らが平日1日でも教会に足を運ぶ理由を教会自らが設けるべきだ。伝道という共通目標の下であれば、全国各地の教会というインフラをサービス(奉仕)提供の場として超教派的、総合的に運営することは十分可能ではないだろうか。
日本社会に先行して少子高齢化の進むキリスト教会だからこそ、幅広い人材を確保し次世代の指導者を育成することを最重要課題として集中的に取り組む必要がある。100万人の信仰者は旧約のダビデより強く、教会がもつ資源はゴリアテを討った1つの石より豊かだ。そう信じる信仰を結集させようではないか。