【CJC=東京】教皇ベネディクト十六世は、チェコ司牧訪問最終日の9月28日、同国の保護聖人・聖ヴァーツラフの殉教地、スタラ・ボレスラフを訪問した。この日は同国の国民祝日。
バチカン放送(日本語電子版)によると、教皇は聖ヴァーツラフが殉教した場所の上に建てられたバジリカを訪問。地下聖堂の同聖人の聖遺物の前で祈った後、郊外の緑地帯で、およそ4万5000人の巡礼者と共にミサを捧げた。
チェコ国内だけでなく近隣のスロバキア、ポーランド、ドイツ、オーストリアなどから多数の青年が前日から現地入りし、ゆるしの秘跡を受け、聖体礼拝などに出席、テントで一夜を明かしてミサに参加した。
教皇はミサの説教で、今日においても聖性は可能なのか、むしろ現代の人が求めているのは地上的な成功と栄光ではないのかと問いかけながら、しかし、こうした目的の追求は長くは続かず、歴史が証明しているように、多くの権力者は、その成功の絶頂の後、突然それを失うことになった、と語った。
また教皇はミサの後半、若者たちへのメッセージで、幸せの追求と不安の入り混じった青年たちの気持ちを理解しつつ、聖アウグスティヌスの経験のように、本当に確かなもの、すなわちイエス・キリストと出会い、心を開くことで、人生に新しい地平線を開いて欲しいと要望した。
教皇は同日午後、プラハのルズィニエ国際空港で行なわれた送別式で、3日間の訪問を振り返り、ヴァーツラフ・クラウス大統領はじめ同国関係者に心からの感謝を述べた。
教皇は同日夜、ローマ郊外カステルガンドルフォに帰着した。