米国で中絶容認派の割合が近年急激に減少するとともに、反対派の割合が増加し、ほぼ半々となっていることが米調査機関ピュー・リサーチ・センターなどが実施した世論調査で明らかになった。CNNが伝えた。
調査は今年8月、全米の成人4000人以上を対象に電話で実施。結果、「どのような場合でも中絶を認める」とする人は昨年の54%から47%に減少、一方「認めない(許されない)」とする人は昨年の41%から45%に増加した。米国の中絶件数は1981年から減り始め、00年には131万件、05年には121万件に減少している。
米パブリック宗教リサーチなどが実施した今年度の宗教活動家調査によると、米キリスト教界では中絶問題について保守派・リベラル派間で見解に大きな隔たりがあり、保守派は95%が「中絶合法化に反対」としたが、リベラル派は約8割が「合法化を支持する」とした。また、リベラル派の26%は「どのような場合でも中絶は許可されるべき」とし、54%は「大概の事例については許可されるべき」との見解を示した。
米国では中絶の是非をめぐっての論争が激しく、今年5月には妊娠後期の中絶手術を行うことで知られていた産婦人科医が射殺され、9月にはプラカードを掲げて妊娠中絶反対を訴えていた男性が射殺される事件が起きている。