【CJC=東京】エキュメニカル(教会一致)運動を主体に、プロテスタント教会の情報を伝えてきたENI通信が、創設主要団体の世界教会協議会(WCC)中央委員会で9月1日に非難の放火を浴びた。米長老教会(PCUSA)通信のジェリー・L・ファンマルテル氏が中央委の会期中にENI通信に寄稿した記事からその経緯を見た。
中央委は8月26日から9月2日まで、ジュネーブで開催されたが、批判は9月1日のサミュエル・コビア総幹事通常報告に対する発言の中で出された。
ENI通信は1994年に、ジュネーブのエキュメニカル・センターに本部を置くWCC、ルーテル世界連盟(LWF)、世界改革教会連盟、欧州教会会議が出資して発足した独立通信社。
「ENI通信についての多くの不満を聞いている」としてカナダ長老教会牧師のウイリアム・イングラム氏は、「多くの記事は全く不正確・・・WCCに関して不十分で、歪んだ展望を与える」と断言した。ただ同氏は具体例を全く挙げていない。
これに対しENI通信常議員会議長でもあるデンマーク福音ルーテル教会牧師のアンデルス・ガデガアルド氏は、「こういった批判をこれまで聞いたことがない。それが一般的な感じというのなら、それを知りたいし、常議員会で協議出来る」と答えた。
今年末に総幹事を退任するコビア氏は、「長らくENIのWCC報道に懸念を持っていたが、この18カ月は非常に悪くなった」と語った。
2008年2月、前回の中央委会合の時に、ENI通信は、コビア氏が米国の資格のない大学から博士号を受けた、と報じたが、それは元来ドイツのキリスト教通信EPDが報じたもの。
それを受けた形で、コビア氏は、「個人的な理由」のために、WCC総幹事として2期目を務める意図はない、と述べたことから後継者探索が始まり、8月27日にノルウェー教会のオラフ・フィクセ・トゥヴェイト氏が次期総幹事に選出された。
「ENIは、その報道が不正確で刺激的だというWCCの懸念に関心を払わなかった」とコビア氏は言う。一例として、同氏の後継者候補の氏名を報じたことを挙げている。
探索委員会は、その手続に従い、氏名を明かさなかった。コビア氏は中央委で、WCC役員によって表明されたENI報道についての懸念はピーター・ケニー「編集長の偶然の不在」に遭遇した、と語った。
しかし、米合同キリスト教会議長のジョン・トーマス牧師(中央委員)は、「私たちを不快にする時でさえ、私たちを分析、評価する独立メディアによってよいサービスを受けている」と発言した。「単なるマウスピースとしてでなく、私たちに責任があると考えている。正確さと客観性を求めるにしても、私たちへの批判を真剣に受け止める必要がある」として、ENI通信はWCCの信頼性に貢献していると言う。
中央委での議論を受けて、ENI通信のケニー編集長は、問題の通信社が、総幹事に予想される候補の名前を報じた後で、すでに秘密でなくなっているのは明らかなのに、WCC役員との会合に呼び出されたと語った。出席したのはWCCの議長、副議長2人、コビア総幹事と広報部長だった。
ケニー編集長は、「総幹事の“偶然の不在”という言葉遣いに驚いた。私は1時間も会談し、彼らの懸念を注意深く聞き、WCCのような国際機関の選考過程における透明性と秘密の問題を議論したのだから」と述べている。