日本カトリック司教協議会は11日、約7600人のカトリック教会聖職者が裁判員候補者に指名された場合に辞退を勧めることで合意し、これについて理解を求める公文書を竹?博允最高裁長官に提出した。
同会はカトリックの教会法から「聖職者は、その身分になじまない事柄を、それが低俗なものでなくても、避けなければならない」「聖職者は国家権力の行使への参与を伴う公職を受諾することは禁じられる」との規定を挙げ、聖職者が裁判員の任務を引き受けることがこれに抵触するとの結論に達したと説明した。
また、信者らから罪の告白や相談を受ける聖職者に課せられた守秘義務を挙げ、これと裁判員の職務とは相容れないとの考えを示し、最高裁側に理解を求めた。
カトリック教会は6月の司教総会で、聖職者である司祭や修道者らが裁判員候補に選ばれた場合、辞退を希望するよう促す公式見解を発表。さらに辞退しても選任された場合は過料(10万円以下)を支払ってでも不参加とするよう求めていた。
一方、約45万人の一般信徒については「それぞれの良心に従って対応すべきだ」として辞退は求めず、各個人の判断に委ねるとし、死刑に関与する可能性があるため良心的に拒否する場合についてはその立場を尊重するとしている。
裁判員制度を定める「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(裁判員法)」では、宗教上の理由などにより「裁判参加で精神上の重大な不利益が生じる」と判断された場合は辞退が認められるなど、信教の自由に配慮された仕組みが存在している。