【CJC=東京】米ユダヤ委員会(AJC)が世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事を非難した。同氏がイスラエルのパレスチナ「占領」を「神に逆らう罪」と宣言したことが理由。
「コビア牧師は、イスラエルに関して、西岸地区にイスラエルが駐在する根源を無視し、WCCが定期的に発する偽善的な声明を繰り返した」とAJCの宗教間問題国際担当のラビ・デービッド・ローズンが8月28日、ニューヨークで声明を発表した。
ENI通信によると、コビア氏は26日、ジュネーブで開催されているWCC中央委への総幹事報告で、「全ての人にとって60年以上にわたる占領とそれに並行する屈辱は、経済的・政治的犯罪であるだけでなく、反ユダヤ主義のような、神にさからう罪だ」と語った。コビア氏は2009年末で総幹事を退任することになっており、今回の中央委での総幹事報告は最後のもの。
コビア氏は、WCCが1948年にアムステルダムでの設立大会で、反ユダヤ主義を「神に逆らう罪」と宣言したことに触れ、「占領も神に逆らう罪と言う用意があるか」と述べた。
一方ラビ・ローズンは、「コビア牧師は意図的に、紛争の根源にあるイスラエルの存在自体への暴力的な否定を無視し、テロやイスラエル市民の大多数の、それはパレスチナ市民のほとんどのものでもあるが、両国の解決の上に平和的に生存するという熱望の実現を阻む誘因について言及していない」とし「西岸がイスラエル統治下に入ったのは、1967年のアラブ諸国によるユダヤ人国家根絶の試みの結果であることを想起しなければならない」と指摘した。
ラビ・ローズンは「イスラエルは他人を統治しようとしているのではない。むしろイスラエルは、平和と安全とを引き換えに西岸地区の大半から撤退することを、パレスチナ市民と直接交渉したいと再三提案している」と言う。
AJCは、「全世界でユダヤ人の権利を保つために米国の1906年に設立された、『米国のユダヤ人社会の全域』を結集する擁護組織としては最古のものの一つ。
コビア氏は、任期中に訪問した地域について言及、中東地域で平和を探求することが緊急に必要であることを指摘、「中東で戦争と暴力という状況の下で、人々は自身と家族の安全を必死に求めている」と語った。