民主党の鳩山由紀夫代表は、30日の衆院選をにらみ政権を獲得すれば、政教分離などで問題となる靖国神社に代えて、宗教的に中立な国立追悼施設を建設する考えを示した。追悼施設については小泉内閣時代でも検討されたが自民党内の反発で実現しなかった経緯があるが、連立の可能性が高いと見られる社民党は協力姿勢を示している。
追悼施設建設は、憲法が規定する政教分離に接することなく首相らが参拝できることや、中国や韓国などアジア諸国への配慮などがその目的にある。鳩山氏は12日「取り組みを進める思いで考えたい」と実現に意欲を示し、15日にも新潟県内で開いた記者会見で改めて前向きな考えを示した。
施設を巡っては02年、当時の福田康夫官房長官の下に設けられた懇談会が宗教的に中立な施設建設の必要性を報告書としてまとめたが、施設が靖国神社の代替とはならない、税金の無駄遣いだという反対意見が強く、具体化しなかった。
施設については民主党の岡田克也幹事長も有識者などで検討する考えを示しており、同党内では今のところ反対する声は出ていない。
首相や閣僚らによる靖国神社参拝に対しては、日本キリスト教協議会(NCC)では靖国神社問題委員会が組織されており、政教分離に反するものだと指摘するとともに、靖国神社が「軍国主義の精神的支柱であったことは明らかで、現在でもその根本精神は変わっていない」「戦争を美化し肯定するもの」として反対している。