国内約500のプロテスタント教諸団体が賛同して横浜市のパシフィコ横浜で開かれていた「日本プロテスタント宣教150周年記念大会」(同実行委員会主催)は9日、閉幕した。同日午前10時からの記念式典では、3人の大会実行委員長と参加者全員が「150周年を契機に、十字架と復活の福音を伝えるために、一致協力してあたっていく」とする決意を大会声明として宣言。2日間で延べ約1万6千人が来場した。
記念式典で山北宣久実行委員長は、「(150年前の宣教師たちは日本に)教派を持ち込んだのではなく、キリストを持ち込んだのです」と述べ、国内のプロテスタント諸教派が互いを尊重し、協力し合うことの重要性を強調。参加した教職や信徒に対し、暗い話題が事欠かない現代にあって、「私たちは喜びの福音に招かれているのです」と福音宣教の必要を訴えた。
また、150年前に宣教師を日本に派遣した米国聖公会、米国長老教会、米国改革派教会の各代表と日本福音宣教師団(JEMA)の代表に、3人の大会実行委員長が感謝状と記念品を贈呈した。
大会最後の集会となった午後4時からの「派遣礼拝」で峯野龍弘実行委員長は、「(最後のこの集会を)開会式とさえ呼びたい」と述べ、150年前に渡来した宣教師たちの働きに勝るとも劣らない宣教の働きをこの場から始めたいとする熱意を表明した。
峯野氏は、21世紀の日本社会におけるキリスト者のになう重要な働きとして、▼キリストの愛による人間性の回復、▼キリストの愛による人間関係の再構築、▼キリストの愛による美しい共同体・社会の新形成の3つを挙げた。
峯野氏は、教会とキリスト者の果たすべき究極の目的は、一教会における信徒の増大ではなく、全人類がキリストの愛によって変革され、神の愛(アガペー)による平和の新世界を実現することにあると強調。主の御心が、どこにあってもすべての人の心の中にまで実現される「究極の、地上の神の国化」こそ、主の祈りの前半部分にあらわされている「主ご自身の御心」と説いた。
そのため宣教は、「主の祈りの成就を目指すもの」でなければならず、主の名によって建てられた教会は、この使命達成のためにキリストにあって一つにされ、ともに宣教しなければならないと訴えた。
これらの使命を地上で達成するためのアプローチとして、教会と個々のキリスト者が、キリストの愛を基盤として築かれる美しい人間形成と人間関係を可能にする「愛の文化」を社会に発信することを提言。能力主義などの相対的、世俗的価値観の支配が増大することでもっとも重要な愛が失われ、「他者のために」生きるという美しくきよい精神が損なわれている「終末的破局」を迎えた現代にあって、「私たち教会とキリスト者の使命は絶大」と力を込めた。
他者を裁き、いつも比べ合う世俗の価値観から真に解放されたキリスト者の交わりには、ゆるしと執り成し、愛の自己犠牲と献身、和解と共生が実現する愛の共同体としての新世界が実現すると強調。その愛の文化圏を地の果てにまで拡張することを願う神の御心とその御国の実現を成就するために、ともに祈り、立ち上がろうではないかと訴えた。