キリスト教慈善団体の「ティアファンド」は、イタリア・ラクイラで開かれている主要国首脳会議(G8サミット)で8日発表された、「2050年までに世界の温室効果ガスを半減」「平均気温上昇を産業革命以前から2度以内に抑制」「先進国全体が温室効果ガスを80%以上削減」するとした首脳宣言を歓迎する一方、求められる意欲的な基準にまでは見合うものではないとする見解を示した。
ティアファンドのアドボカシー・ディレクターであるポール・コック氏は、国連の「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は先進国全体で温室効果ガスを2020年までに90年比で25〜40%削減することを提案しているが、今回G8首脳らは、2020年までの排出制限について「意欲的な目標」を定められなかったと指摘。
貧しい国々が気候変動の影響に対応するためには財政的、技術的支援が必要だと強調し、「G8首脳らはこの緊迫した世界的な問題を理解していないのではないか」「(温室効果ガス削減のための)適切な財源確保が障害になっており、現在それが交渉を行き詰らせている。これまで、首脳らは財政的な点については触れてこなかった」と批難した。
温室効果ガス削減については、先進国が高い数値目標を出さなければ、中国やインドなど新興国の支持を得られないとの考えから今回、G8の首脳宣言では「先進国全体が80%以上削減」するという新たな長期目標が明記された。
しかし、9日にG8に新興国などを加えた17カ国による主要経済国フォーラム(MEF)では、G8が提示した「平均気温上昇を産業革命以前から2度以内に抑制」という認識では合意したが、「2050年までに世界の温室効果ガスを半減」について反発が強く、数値目標の盛り込みは不合意に終わり、「相当量の削減」にとどまった。