【CJC=東京】韓国慶山の嶺南神学大学(長老派系)のジョン・ギョンホ教授は、学生たちをモンゴルの遊牧民の生活に触れさせたり、ベトナムの都会の貧困層と生活を共にさせたりする中で、「旅する神学」とでもいった新しい潮流を生み出せるのかも知れないと思うようになった。世界教会協議会系のENI通信が報じた。
「これは生活の場から学び取るもので、観光ではない」とジョン氏は、5月21〜31日にジュネーブで開かれた世界改革教会連盟(WARC)常議員会で述べた。改革派教会が経済・環境問題に応答する姿勢の中でその神学教育手法を説明したもの。
モンゴルでは、学生たちは、その地域のエコロジーを重んじる遊牧民の生活様式から学んだ。「彼らが出すゴミは6カ月で小さなビニール袋一つに収まってしまった」とジョン氏。「米を料理する時には、幾粒かを地に蒔いていたが、それは祖母なる地球に感謝することだった」。
ジョン氏は、学生たちが文字通り手を汚すことで神の創造に対して配慮することを学んだ、と報告した。「現地の人たちが、私たちは馬に乗れず、牧畜には役立たないと分かると、土地を肥沃にするために馬糞を集める役を私たちに課した」と言う。
そのような環境への配慮にも関わらず、飲用水の汚染が進み、腎臓に障害を持つ人が急増している。学生たちは専門家を連れて来る、と誓って現場を離れた。
ベトナムのホーチミン市に向かったグループは、現地の教会に、ベトナム戦争で果たした韓国の役割について謝罪するという使命を担っていた。
ジョン氏は、1968年から71年にかけて韓国の将兵が米国と共に戦ったことが韓国ではあまり知られていない、として「戦闘への参加が韓国が経済的に発展するのに貢献した」と言う。「私たちは今では富裕国になったが、それは私たちがやって来たことのためだ。だから私たちは謝らなければならない」。
学生たちはベトナムの教会に招かれ、そこで謝罪したが、韓国のキリスト者が謝罪したのは初めてのこと。
訪問先の地域社会での貧困を見て、学生たちは食事を減らし、食費を貯めて、困窮者のための住宅建設計画に1500米ドル(約15万円)相当額を捧げた。それで3棟建設出来る。
ジョン氏は「私の仕事は未来の世界で働く神学生を訓練することだ、これらの経験は、彼らの神学がこれから展開して行くのに役立つだろう」と語っている。