10.3つの口ぐせ
言葉の力が発揮されるためには繰り返しが必要です。同じ言葉を繰り返す。合言葉、口ぐせにするのです。私は3つの口ぐせを提唱しています。
まず第一に、「これでいいんだ!」
何が起こっても、嫌なことが起こっても、「これでいいんだ!」と、すぐに言うのです。何か失敗してしまったら、「あっ、これでいいんだ!」。これは私の言葉ではなく、佐藤富雄という博士号を3つも持っておられる方の言葉です。「口ぐせ博士」として数々のベストセラーを書かれています。彼の説明によると、脳内ホルモンが出て、身体全体、精神全体が肯定的な方向に向いていくうちに、事態が本当に良くなってしまうというのです。
ところが、私はこれではちょっと物足りない。そこで第二は、「これがいいんだ!」
私たちは一生懸命に、それなりに生きているわけです。一生懸命に生きている。にもかかわらず、いろんなことが起こるわけですから、「これがいいんだ!」。自分にとっても、相手の方にとっても、「これがいいんだ!」。
ところが、さらに進みます。第三は、「いや、これがベストなんだ!」
問題に押し潰されそうになりますが、本当はそれがベストなのです。神は愛ですから、神が私たちを愛しているならば、最高最善のことしかなさらないのです。あるいは、そのつらい問題は私たちに益となるから、私たちに最も良いからその存在が許されているわけで、いずれにしてもベストなのです。「いやあ、こんな嫌な問題をいただいて、ありがとうございます。これは私にとって最高の恵みです!」。こう言っているうちに、そういう気持ちになります。
これは言葉の力です。それは真理なのです。神は愛ですから、私たちを死ぬほど愛している神が、意地悪くいじめたりするはずはないのです。問題が起きたら、必ずその中にすばらしい神の恵みの宝が隠されているのです。それを取り出して受け取りなさいということです。「あなたはこういうところが欠けているから、この問題でちょっと反省しなさい」ということかも知れません。
とにかく、あらゆる問題がベストなんだ、今日生きていることがベストなんだ。これは真理です。なかなか信じられないのですが、言っているうちにその気になってくる。まさに言葉の力です。
(次回へ続く)
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。このコラムでは、2004年11月6日のインターナショナルVIPクラブ広島特別講演会での講演録を再構成し、一部加筆したものを紹介する。