「そればかりではなく、患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。なぜなら、私たちに与えられた聖霊によって、神の愛が私たちの心に注がれているからです。」(ローマ5:3−5)
あなたは今、どんな問題で悩んでいますか。
さて、問題が全く無い人間なんているのでしょうか?
ニューヨークの路上で、一人の男が“牧師様、私は問題を抱えているのですが!”とノーマン・ビンセイト・ピール博士を呼び止めました。ピール博士は答えました。“そう、この近くに、何も問題を持っていない一万五千人の人々がいる場所がありますよ”“それはどこですか!是非教えて下さい。そこに住んでみたいです!”と男が聞きました。ピール博士は、“ブロンクスのウッドローン墓地ですよ”と答えました。
確かに、何も問題を持っていないのは死人だけです。問題があるということは、生きている証拠なのです。だから、どんな困難な状況にもひるむことなく、実は克服することができるのです。
星野冨弘さんは、群馬大学を卒業するとすぐ、高崎市の中学校の体育教師として赴任しました。一九七〇年六月十七日の放課後、生徒たちといっしょに宙返りをしていた時、どうしたことか頭からマットに落ちてしまいました。星野さんは首の骨を折り、肩から下の筋肉が全部だめになり、手も脚も動かなくなってしまったのです。それから半年後、彼は口にペンをくわえて、字を書こうとしました。最初はどんなに頑張っても、力のない首の動きでは一本の線さえ引くことができませんでした。ペンに巻き付けてくわえていたガーゼは、唾液でぐしょりぬれ、歯ぐきからは血が流れました。そんな努力の末、彼は字を書くことができるようになったのです。そして花の絵も描き始め、いつも短い詩を添えました。星野さんの描いた花の絵は、日本中の問題や悩みのある人々に、生きる勇気と励ましを与え続けています。車椅子の生活ですが、幸せな結婚をし、今でも口にくわえた筆とペンで、美しい花の絵とさわやかな詩を書き続けています。星野冨弘さんの人生を支えた言葉を紹介します。
「そればかりではなく、患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。この希望は失望に終わることがありません。」(ローマ5:3−5)
人は、自分に問題があるような気がすると、それだけで本当に問題があると信じ込んでしまい、心が動揺します。それはある意味では正しいのですが、多くの場合、実際に直面している問題よりも、こうした意識の方がはるかに重要なのです。病気を気にする気持ちの方が、病気そのものよりも扱いが難しいのに似ています。
ですから、問題を解決するための第一歩は、問題に対して自分はどんな感情を持っているか、どういう風に見ているか、心は動揺していないだろうかと、客観的に自分の心構えを調べることです。
恐らくいつも問題を抱えている人々は、精神を弱化させる考え方に支配されているはずです。それは一つの病気です。成功しない人の精神的特徴の一つに、“弁解癖”があります。だから早くこの病気を治さないと、ますます悪くなります。この心の病気の特徴は、問題に直面するとすぐ言い訳を考えることです。そして、最後にはあたかもそれが絶対であるかのように確信してしまうのです。
“問題だ!私の対面を保つのに役立つ言い訳が何かないだろうか?体の具合が悪いというのは?教育がないという理由は?年齢が若いから、年をとりすぎているというのはどうか?運が悪かったというのは?会社が悪い、妻が、夫が、家族が非協力的だというのはどうだろうか?”
問題を解決するよりも先に、解決できなかった時のことを考えるのです。だから本当に問題を解決する力を身につけるためには、この“弁解癖”にかからないように、予防接種をしておかなければなりません。
1.健康を理由とした弁解癖…“健康がすぐれませんので…”
健康を口実にするのには、“どうも気分がすぐれませんので…”という慢性的なものから、もっとはっきり“どこそこが悪いので…”と、いろんな形があります。しかし、成功した人がみんな完全な健康体だったわけではありません。だから問題を処理できない理由に、健康を持ち出さない決心をするべきです。この“弁解癖”によく効く薬があります。
A.あなたの健康について話すことをやめること。病気について話せば話すほど、それはますます悪くなっていくように思われるものです。いつも病苦を訴えることによって、多少の同情は受けるかも知れませんが、それは決して尊敬されません。
B.あなたの健康について思い煩うのをやめること。心配だったら、しっかりした医者か病院で検査してもらいなさい。
C.自分の健康はこんなにも良いものだということを心から感謝すること。どうも気分がすぐれないとこぼすかわりに、自分は今こんなに健康なのだと喜ぶ方が、強力な予防薬になります。頭が痛くてもほほえむのです。
D.しまっておいて錆びつかせるよりも、擦り切れるまで使った方がずっと良い。人生は楽しむためにあります。病院のベッドのことばかり考えて、一生を無にしないように!
2.知識を理由とした弁解癖…“私は頭が悪いから…”
あなたは自分の知力を過小評価しています。また周りの人々の知力を過大評価しています。大切なのはそれをどう使うかということです。知能指数が一〇〇しかなくても、もしその人が積極的で、楽天的で、協力的な態度を身につけていれば、知能指数は一二〇だが、消極的で、悲観的で、非協力的な人間よりもはるかに多くのお金を手に入れ、より尊敬され、より成功することができるのです。なまけ者の知力よりも、物事をやりとおす能力こそ必要なのです。だから…
A.あなた自身の知力を過小評価しないことです。あなたのすぐれた才能を発見、あなたの頭脳を活用することです。
B.あなたの態度は、あなたの知力よりもはるかに重要です。常になぜそれができないかではなく、なぜそれができるかについて考えることです。失敗することを立証するのではなく、勝利する、解決する方法を考えなさい。
C.考える能力は記憶する能力よりも、はるかに大きな価値があることを覚えておくことです。あなたの知力を創造的、積極的に用いるのです。
3.年齢を理由とした弁解癖…“だめです、私は年をとりすぎています(若すぎます)”
問題を解決するのに、ちょうど良い年齢なんてありません。今が一番良い時期なのです。ある女性に、あなたにとって一番若いと思った年齢はいつでしたかと尋ねました。彼女の答えは“今です。今が、私にとって一番若い年齢です”でした。全くその通りです。今が一番良いのです。
A.あなたの現在の年齢を、積極面から見ることです。前方に新しい未来を常に見つめていれば、熱意と若さの自覚は自ら湧いてくるものです。
B.自分に残されている活動期間が、どれだけ残されているかを数えることです。三十代だったら、まだ八十パーセント、五十代だったら、まだ四十パーセント、自分には活動期間が残されている。しかも、人生における最良の時と機会が残されているのです。
C.私の最良の時はこれからなのだと前向きに考えることです。そして、あなたが本当にしたいことのために、将来の時間を使うことです。
4.運を理由とした弁解癖…“私はいつも運が悪い…”
世界のどんな成功者についても言えることは、運が良かったのではなくて、仕事に対するその態度が良かったのであり、困難や問題にも正しい態度で立ち向かったため、解決し成功したのです。準備、計画、成功意識があったからなのです。
バージニアは夫を事故で失いました。彼女はそれを不運とあきらめないで、有能なタイピストとしての技術を身に着け、すぐ秘書として雇われました。
バージニアにとってすべてが順調だったある日、彼女の指先が痛み始めました。タイプをするために、皮膚がくずれる重い病気が悪化していたのです。医者の診断の結果、両手の指を数本切断する必要があることが判明してしまいました。
ところが、病院のベッドの真っ白な枕の上の顔はほほえんでいたのです。包帯を巻いた両手が、毛布の上に痛々しく置かれていました。彼女は言いました。“私は、もしタイプを打てなくなったらどうしようかと考えました。でも、私は今確信しているんです。一つの扉が閉じてしまう度に、もう一つのすばらしい扉が開かれると”
手術から二カ月後、彼女は原価分析ができることから、会社でコスト・アナリストの仕事を与えられ、タイピストだった時よりも高い給料で働くことができました。
問題は止まれという合図ではなく、新しいチャンスを切り開く好機なのです。問題にあなたを挫折させてはいけません。問題は解決するためにあるのです!
それでは具体的に、問題をどのように解決していけば良いのでしょうか。
一、問題をじっくり考えることです。
子どもが時々、試験の答えを間違えるので、ある時“問題をしっかり読んでいるの”と聞いてみました。何と、間違った時は、ほとんど問題をよく読まないで答えを書いているのです。これでは正解を出せるはずがありません。
いろんな角度から、問題を考えるのです。考える時間は、問題によって数分間でよい時もあれば、数時間、あるいは何日もかかることもあるでしょう。
問題の特徴は何か?主な原因は?いくつかの問題が絡み合っているのではないか?なぜ問題と言えるのか?問題に関係しているのは誰か?どんな事柄が関係しているのか?
どんな問題でも、その内部には、多くの特徴、人間、機能、物事、状況が絡み合っているので、その一つを解決しても、確かに応急処置は必要ですが、根本的な解決にはなっていないのです。
二、問題解決の目的を把握することです。
問題解決の目的をはっきり把握しておくと、首尾一貫した態度で、問題を解決することができます。問題を解決することによって、どんな成果が期待できるか?解決するとどうなるのか?首尾一貫した行動を取るためにも、目的をメモしておくと良いでしょう。
三、情報を集めることです。
問題についての事実を集めたり、他の人の意見などを聞き、情報が十分集まれば、問題解決の兆しが見えてきます。問題を解決する自信が湧いてきます。「問題・解決目標・そして事実」、これが問題解決の手順です。
四、幾つもの解決方法を考え、書き出してみることです。
問題の解決方法、解答、とるべき態度や行動は、できるだけたくさん集めること。多ければ多いほど良いでしょう。少々突飛すぎると思っても、一応は検討してみる価値があります。
五、行動の方針を決めることです。
問題解決の目的を達成するために、ベストと思われる行動方針を決断することです。ここまで来て疑いや不安になり、行動に踏み切ることができないようではいけません。もし、解決方法を誤ったことがはっきりしたら、すぐ別の行動を起こせばいいのです。
あなたが問題を抱える人ではなく、問題を解決する人となりますように!
また自分の問題だけではなく、あなたの周りにいる人々の問題解決を手伝う人になりますように!心から祈ります。
楽観主義者の信条
一、何事にも心の平安をかき乱されないほど強くなることを誓う。
二、出会う人々と、健康、幸福、繁栄について語り合うことを誓う。
三、すべての友人が、自分は何か良いものを持っているのだと感じられるように、手助けすることを誓う。
四、すべてのことの良い面を見つめ、自分の楽観主義に従うことを誓う。
五、最善のことだけを考え、最善のことだけのために働き、最善だけを期待することを誓う。
六、自分の成功のために努力することはもちろん、他の人の成功のためにも情熱を傾けることを誓う。
七、過去の失敗は忘れ、未来のより大きな達成のことを胸に抱くことを誓う。
八、人には常にやさしく接し、出会うすべての生きものに、ほほえみかけることを誓う。
九、自分を成長させるために時間を用い、他の人を批判する暇などなくすことを誓う。
十、悩みを持つには大きすぎ、怒るには高貴すぎ、恐れるには強すぎ、問題を認めるには幸福すぎる人間になることを誓う。
―クリスチャン・D・ラーセン―
(C)プレイズ出版
榮義之(さかえ・よしゆき)
1941年鹿児島県西之表市(種子島)生まれ。生駒聖書学院院長。現在、35年以上続いている朝日放送のラジオ番組「希望の声」(1008khz、毎週水曜日朝4:35放送)、8つの教会の主任牧師、アフリカ・ケニアでの孤児支援など幅広い宣教活動を展開している。
このコラムで紹介する著書「輝き・可能性への変身」(2000年、プレイズ出版)は、同師が「ラジオ番組 希望の声」シリーズとして出版したもの。机上の空論ではなく、著者自身がその生涯において実現し、今も継続している生きた証しを紹介している。