約6万9000人が死亡、約1万8000人が行方不明者となった四川大地震は12日、発生から1年を迎えた。被災地では現在も、復興に向けた支援活動が続いている。キリスト教救援団体ワールド・ビジョン・ジャパン(東京都新宿区)は11日、日本をはじめ世界各国からの寄付金により、ワールド・ビジョンが地震発生翌日からこれまでに行ってきた支援活動を同ホームページで報告。同時に、同団体の緊急救援活動への募金を呼びかけた。
地震発生翌日、ワールド・ビジョンは被災地に緊急チームを派遣。5月26日には緊急支援部隊を編成し、緊急・復興支援の実施調整に取り掛かった。
特に深刻な被害を受けた四川、甘粛、陝西の各省では、米や布団などの緊急支援物資を配布。これまでに、布団5万2000枚、米300トン、調理器具5000セットや電気鍋、薪ストーブのほか、仮設住居用ビニールシート2万1200枚、住居用テント5500張を被災者に手渡した。
また、震災によって倒壊した学校や寮に代わるテントやプレハブを直ちに設置し、子どもたちが勉強を再開できる環境を整備。これまでに213のテント校舎、400のプレハブ教室を設置し、扇風機、机、いす、黒板などの教育施設備品9000点、学寮備品3285点を支援した。
さらに、子どもたちの精神的負担を和らげるため、「チャイルド・フレンドリー・スペース」という子どもたちの遊び場を被災地の13カ所に設置。スタッフがイベントを企画し、震災直後の多くの子どもたちを喜ばせた。
震災後、青川県にあったワールド・ビジョンの事務所は、建物に崩壊の危険があるとしてプレハブの事務所に移転した。ワールド・ビジョンは現在も、震災によって倒壊した校舎の再建支援や被災地のインフラ整備を続けている。また、学校と連携してスタッフが歌やゲームなどのプログラムを授業の中で実施し、子どもたちの心のケアと同時に、災害に備えることの大切さを教えている。
緊急救援活動は時間との戦いだ。四川大地震の緊急援助募金の受付は終了したが、ワールド・ビジョン・ジャパンでは、緊急人道支援のための募金を常時受け付けており、突発的な災害や紛争などの事態に備えている。
ワールド・ビジョンはこれまでに、70年代のベトナム・カンボジアでの難民救援から、ミャンマーのサイクロン、最近のパレスチナ自治区ガザへの支援に至るまで、世界各国で緊急支援活動を行ってきた。現在は緊急人道支援の場で大きな存在感を示している。
ワールド・ビジョンは、1951年に米国で設立した国際NGO団体。現在世界97カ国で活動している。ワールド・ビジョン・ジャパンは1987年に設立。「チャイルド・スポンサーシップ」による地域開発援助のほか、災害時の緊急支援、アドボカシー活動を行っている。