【CJC=東京】大洪水に見舞われることを告げられ、箱舟を作り避難したノアの話は旧約聖書で良く知られているが、世界経済が大洪水に襲われている中で、香港に『ノアの箱舟』が登場する。
億万長者のコク兄弟が香港港近くの島2万5000平方メートルの敷地に建設したもので、長さ140メートル弱、最上部には高級ホテルが開業するほか、レストランや子ども向けの博物館がある。ファイバーグラス製の動物67組が展示される。「金融の津波は終わるだろう」と『ノアの箱舟計画』担当のスペンサー・ルー氏は、17年も掛けて準備してきただけに、開業を控えて前向きだ。
『ノアの箱舟』は、オランダにもあり、そこでは実際に家畜を収容した箱舟が水に浮かんではいるものの、大きさは聖書に記されているものの5分の1だ。香港の箱舟は聖書の記述に従って作られたのが売り物という。
大洪水は考古学的にも実在したと見られ、箱舟はトルコのアララト山にたどり着いた、と記されていることから、キリスト教世界の関心をかき立て、アララト山に痕跡を尋ねる探査隊が結成されたり、気候変動への警告として環境保護団体グリーンピースがアララト山に箱舟を建造するなどの例があるほか、カナダ・ニューブランズウィック州フロレンスビルにも長さ90メートルのものが建設された。これは教会事務所や聖書学校として使われている。
香港の箱舟の総工費は明らかにされていないが、中国本土からの観光客を呼ぶ願いが込められている。ただキリスト教のことを知らない人たちが『ノアの箱舟』に魅力を感じるかは未知数だ。