国内最大のキリスト教会組織である日本基督教団の第34回総会が閉幕した。本総会では、初日から内部対立の表出という事態が発生し、教団が抱える諸問題とそれに対する苛立ちが教団内で飽和状態に達して久しいことを垣間見た。
日本で最多の教会数を有し、日本のキリスト教の「顔」として見られるマンモス教団の総会であるが故に、議場で起こる一つひとつの事柄が日本全体に与える影響には計り知れないものがある。本総会に関心を寄せるのは所属教会員だけではなく、他教団の指導者と教会員、海外のキリスト教会指導者までもが、本総会の結果から日本のキリスト教の行く末を知ろうとしていると言っても過言ではない。
日本キリスト教界の復興や世界宣教において重要な立場にあるこの教団が、「関連」新聞社を除くすべてのメディアを議場から排除するという、閉鎖的、非民主的体質を改善しなければ、福音を知らずに放浪を続ける失われた魂たちが「まことの安らぎ」を感じられる共同体を造り上げることは非常に困難となるだろう。報道規制といえば、報道の権利、表現の自由、知る権利という民主主義の根幹となる権利を侵害するとして問題になった「メディア規制3法案」が記憶に新しい。
この閉鎖的体質は他の多くのキリスト教会にも見られ、他教派間における真の霊的交流の妨げとなっている。福音伝道の奉仕において一つとなるべきクリスチャンではあるが、クリスチャンの最優先事項であるべきこの目標が、既存の協力関係、教会員の保持、体裁の維持に取って代えられてしまうことも少なくない。クリスチャン最大の使命を二の次にしてまで維持しなければならない「協力関係」の力は、何によるものなのか。
教団総会は、教団の一定期間の働きを振り返りながら新たな歩みの方向性を定める重要な機会である。ともに歩む他教団の同胞が直面している問題を知り、自ら告白することは、役割は異なってもイエス・キリストを頭(かしら)としてキリストの身体を形成する諸教会にとって不可欠なことだ。米国や韓国では、総会が公開されることは当然のことで、インターネット上でリアルタイムで放送され、誰でも見ることが出来る。
日本のキリスト教が共有と保守の領域を明確に区別した上で革新されなければ、この先も足踏みを続けることになりかねない。特に日本基督教団では、教団内で対立関係にある集団同士の間、また教団外部とのやり取りにおいて、開放性と謙遜をもって対話、告白、自発的な歩み寄りを実践していくことが、先頭に立ってキリスト教の明日を切り開く立場にある教団として、求められているといえよう。
教団総会議長として再選した山北宣久牧師は、「伝道」を教団の土台として据える意向を示している。御言葉を伝えて魂を救いに導くことこそ教会の存在理由と信じる教団の聖書に対する信仰が、山北牧師の再選につながった。伝道は長期計画と継続的な努力を必要とする。2期目を迎えた山北牧師は、働き手を募って具体的な伝道方策を協議し、また教団は伝道を軸としてひとつになることが求められる。日本基督教団が山と積まれた問題を前に、求心力を維持し、伝道の実を豊かに結ぶことを期待する。