3.人生の3つの根本的問題
私はずっとくよくよしていました。その根本的な原因は3つあると思います。皆さんも、もしかしたらそうかもしれませんが、人生の3つの根本的問題です。
まず第1は、「不安」。
不安はどこまでいっても尽きません。私も一生懸命勉強して東大まで出て、弁護士になって、一流の国際事務所で働いていたのです。でも、不安ですよ、不安だらけ。「仕事に殺されてしまうのではないか、失敗したらどうしよう、健康もダメになってしまうのではないか、大地震が起きたらどうしよう、核ミサイルが飛んでくるのでは」、とかですね。どこまでいっても不安の連続です。35年も弁護士をしてきましたが、今でも時々不安になります。
第2は、「空しさ」。
「だれでもいずれは死んでしまう」という厳然たる事実、これも大問題です。日本マクドナルド創業者の藤田田(ふじた・でん)さんは、お母さんがクリスチャンでした。「田」という名前は、「口の中に十字架を入れた」のです。「息子が口で禍(わざわい)を犯さないように、神さま、どうか守ってください」。ところが、田さんはだいぶ毒舌家でしたね。
それで、亡くなったら、なんと3千億円遺したそうです。すごいですね、3千億円です。でも、あの世に1円も持っていけなかった。田さん、本当に空しかったのではないかと思います。一生懸命働いて、一生懸命貯めてです。「もっと良いことに使っておけばよかった」と、あの世で後悔しているかも知れません。よく考えてみると、「底なしの空しさ」というものがあります。
第3は、「無力感」。
あれもやりたい、これもやりたい。あれもやらなければいけない、これもやらなければいけない。でも、なかなかできないのです。その無力感。
これらが、私の3つの根本的問題でした。どうしたらいいんだ。東大を出たってだめだ。弁護士になったってだめだ。留学したってだめだ。結婚したってだめだ。何になっても、どこに行っても、本当の救いがないのです。
4.問題解決の秘訣は聖書にある
そこでいろいろ模索しているうちに、ある本にたどり着いたのです。それが、「聖書」です。英語で、「ザ・バイブル」。これは、とてつもなくすごい本です。「あらゆる問題を解決する秘訣」が書かれているのです。
私は弁護士ですので、「六法全書」を使っています。この中に法律がたくさん書いてあります。「六法全書を読めば、だいたいの法律問題は解決する」と思ったら、大間違い。なかなか解決しないのです。この法律というのは、これだけじゃないんです。細かく調べていったら、一部屋分くらいの法律があります。規則だ、法令だ、通達だ。それから判例、これも膨大です。裁判例が膨大にある。そして、それを解説する本や雑誌、もう読み切れません。近頃では、パソコンで法令や判例を検索できるようになりました。それでも苦労します。
そして、法律問題を解決するために、一生懸命に法律を研究しているわけですが、いざとなると、最後は裁判官の判断ひとつなのです。絶対勝てると思っても負けてしまうことがある。これは絶対負けると思ったら、勝ってしまったり。最後は人間の判断ですから。そういう意味では、全然頼りにならない。プロがそう言うのですから、間違いないです。問題の本質は、六法全書や法律では解決しないということです。
ところが、この聖書は問題の本質を解決するのです。法律は、人間が作ったものです。一応、国会を通りますけれども、中には良い法律もありますが、納得のいかない法律もたくさんあるわけです。人間が多数決で作っているのですから。だから、コロコロ変わるのです。去年作った法律が、もう今年変わってしまう。
判例だってそうです。最高裁の判例だって、担当裁判官が変われば、いつかまた変わってしまうのです。法律も判例もコロコロ変わる。一貫性がない。
しかし、この聖書は、誰が作ったものでしょうか? 全知全能の神が作ったものです。神のインスピレーションによって、時代を超えたさまざまな人たちが書いた文書を一つにまとめた本が、実は聖書なのです。聖書の言葉は、神の言葉ですから、変わらない。永遠に変わりません。聖書には、真理、しかも「不変の真理」が書かれています。私はようやくこの聖書にたどり着いて、「あらゆる問題を解決する秘訣」を発見しました。
聖書は神の存在を前提としています。聖書の神というお方は、すばらしいです。日本には八百万(やおよろず)の神と言って、たくさんの神さまがいらっしゃる。商売繁盛の神さま、交通安全の神さま、安産の神さま、受験の神さま、水子の神さまと、いろいろ分業していらっしゃいますが、聖書の神さまはただお一人だけ。
ただお一人の神さまが、全部の問題を一括して引き受けてしまうのです。受験問題、家族問題、健康問題、経済問題、法律問題、社会問題、政治問題、国際問題、なにもかも全部です。オールマイティですから、全部請け負ってしまう。こういうすばらしい神がおられるのだということを前提に、聖書は神の言葉として書かれているのです。
(次回へ続く)
佐々木満男(ささき・みつお):国際弁護士。宇宙開発、M&A、特許紛争、独禁法事件などなどさまざまな国際的ビジネスにかかわる法律問題に取り組む。また、顧問会社・顧問団体の役員を兼任する。東京大学法学部卒、モナシュ大学法科大学院卒、法学修士(LL.M)。このコラムでは、2004年11月6日のインターナショナルVIPクラブ広島特別講演会での講演録を再構成し、一部加筆したものを紹介する。