
爆発後の福島第1原子力発電所3号機原子炉建屋の外観=2011年3月15日(写真:経済産業省資源エネルギー庁のホームページより)
東日本大震災とそれに伴う福島第1原発事故から14年となった11日、日本カトリック正義と平和協議会(会長:ウェイン・バーント那覇教区司教)は、政府のエネルギー政策について「原発回帰」だと批判する声明を発表した。
声明は、政府が2月に閣議決定した第7次エネルギー基本計画について、福島第1原発事故の「経験、反省と教訓」を土台にエネルギー政策を進めていくとしつつも、その内容は「原発回帰」になっていると指摘。「そこには、2014年以来、エネルギー基本計画に示されてきた『可能な限り原発依存度を低減する』姿勢はもはや跡形もなく、原子力の『最大限活用』は既定事項とされています」とし、「原発事故の重い経験はなかったも同然であり、事故前に比較しても著しい後退と言わざるをえません」と批判している。
その上で、原子力発電、核兵器を問わず、核技術は「生態系全体と人間の社会生活に取り返しのつかない大惨事をもたらす危険性と、人を恐怖によって支配する圧倒的な力」を持つと指摘。その存在は、富者・強者が貧者・弱者を搾取する構造上にのみ可能であり、その使用によって不均衡が一層深刻になる「不正義の技術」だとしている。
また、世界唯一の戦争被爆国である日本は、「核とはどのようなものかを他国にまして知っているはずの国」だとし、「人類はこのような技術と一刻も早く決別しなければならず、日本こそ、そのために働く、特別な使命を担っているのです」と訴えている。その上で、第7次エネルギー基本計画に反対し、「真に原発事故の『経験、反省と教訓』に立脚したエネルギー政策への転換を求めます」としている。