
曽野綾子さん(写真:篠山紀信撮影 / 河出書房新社)
カトリック作家の曽野綾子(その・あやこ、本名・三浦知寿子=みうら・ちづこ)さんが2月28日午後2時59分、老衰のため東京都内の病院で死去した。93歳だった。葬儀は親近者のみで執り行った。お別れ会は未定。国内各紙が4日、伝えた。
1931年東京生まれ。幼稚園から大学まで聖心女子学院に通い、高校時代にカトリックの洗礼を受ける。洗礼名はマリア・エリザベト。大学在学中に同人誌「新思潮」に参加。そこで三浦朱門氏と出会い、在学中の53年に結婚。翌54年、短編小説『遠来の客たち』が芥川賞候補となり、23歳で文壇デビュー。共にカトリックである夫の三浦氏や、遠藤周作氏らと共に「第三の新人」と呼ばれた。
代表作に、エッセー集『誰のために愛するか』(70年)、長男をモデルにした青春小説『太郎物語』(73年)、妊娠中絶を扱った長編小説『神の汚れた手』(79年)など。他にも多数のベストセラー作品がある。
79年バチカン有功十字勲章、93年日本芸術院賞・恩賜賞、95年NHK放送文化賞、2012年菊池寛賞ほか、多数の受章・受賞歴があり、03年には文化功労者に選ばれている。
作家以外の活動も幅広く、日本財団会長、日本郵政社外取締役、政府の各種審議会委員を務めた。1972年には、海外で活動する神父や修道女を支援するNGO「海外邦人宣教者活動援助後援会」(JOMAS)を創設し、40年にわたって代表を務めた。また、保守論者としても知られ、産経新聞のオピニオンコーナー「正論」のメンバーとして長年執筆するなどした。