アフリカ中部のコンゴ民主共和国(旧ザイール)東部で、反政府武装勢力と政府軍による戦闘が激化し、700人以上が死亡した。事態を受け、キリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」は、同国東部の主要都市ゴマとその周辺での活動を一時休止し、スタッフに自宅待機を指示。現地では同国内の他地域から逃れてきた多くの避難民が生活をしており、さらに深刻な人道危機に直面しているとして、深い憂慮を示した。
ゴマには1月26日、反政府武装組織「3月23日運動」(M23)が攻め入り、国連(英語)によると、30日までの5日間に700人以上が死亡、2800人以上が負傷した。また、28日までの3日間に、M23により少なくとも12人が処刑された。
さらに、コンゴ民主共和国当局によると、M23の襲撃に伴いゴマの刑務所で大規模な脱獄が起き、少なくとも165人の女性が男性受刑者により強姦(ごかん)被害に遭った。
北キブ州の州都であるゴマは、隣国ルワンダと国境を接する人口約200万人の都市。一方、北キブ州を含むコンゴ民主共和国東部は、政府の統治が行き届いていないこともあり、100以上の武装勢力が存在し、長年にわたり戦闘が続いている。
ワールド・ビジョンによると、コンゴ民主共和国東部の人道支援の拠点となっているゴマには、今年だけで既に推定40万人以上が流入している。しかし、M23が掌握したことで、現在は同国内の他地域から事実上閉鎖されている状況にある。
ワールド・ビジョンは現地の状況について、「ここ数週間、避難民キャンプが砲撃され、数百人が死亡するなど、地域全体が混乱しています。命を失った人々の中には、多くの子どもたちも含まれます」と報告。また、M23のゴマ掌握により、「既に深刻な人道状況は急速に悪化しており、治安の悪さや道路封鎖、武装勢力の存在によって、市内外に住む脆弱(ぜいじゃく)な立場にある人々へのアクセスは厳しく制限されています」としている。
ワールド・ビジョンのコンゴ民主共和国東部の事業責任者であるデビッド・マンクリー氏は、「スタッフが支援活動をするにはあまりにも危険」だとして、77人いるスタッフを自宅待機にしていると説明。子どもたちが武装勢力に徴兵されたり、少女や女性が性暴力の被害に遭ったりするリスクが高まることへの懸念を示し、「国際社会は、この紛争の深刻化を防ぐために、直ちに積極的に関与する必要があります」と訴えた。
コンゴ民主共和国では、人口1億1300万人のうち2700万人が人道支援を必要としているとされる。国内避難民は600万人に上り、特に東部の北キブ州と南キブ州では460万人が避難生活を強いられている。
世界約100カ国で活動するワールド・ビジョンの日本事務所であるワールド・ビジョン・ジャパンでは、難民支援募金を行っている。寄付は、ホームページまたは電話(フリーダイヤル:0120・465・009、受付時間:午前9時~午後11時)で受け付けている。