米国のドナルド・トランプ第47代大統領の就任式が20日、首都ワシントンの連邦議会議事堂で行われた。トランプ氏は就任式の演説で、「私は米国を再び偉大にするために神に救われた」と言い、米国を「黄金時代」に導くと約束した。
宣誓後に行った演説の中で、トランプ氏は昨年7月の暗殺未遂事件に触れ、次のように語った。
「われわれの共和国を取り戻すまでの道のりは容易なものではなかった。われわれの大義を阻止しようとする者たちは、私の自由を奪おうとし、実際に私の命を奪おうとした。暗殺者の銃弾が私の耳を貫通したが、その時、私の命は理由があって救われたと感じた。今では、そのことをさらに強く信じている。私は、米国を再び偉大にするために神に救われたのだ」
トランプ氏は、自身の就任式を「解放の日」と呼び、米国民に「われわれは自国を忘れない。憲法を忘れない。神を忘れない」と誓った。また「米国の黄金時代は今始まる」と言い、「今日からわが国は繁栄し、再び世界中から尊敬されるようになるだろう」と付け加えた。
「われわれは全ての国々の羨望の的となるだろう。これ以上、われわれを食い物にすることは許さない。私は非常にシンプルに、米国を第一に考える」
トランプ氏は、メキシコとの国境における不法移民問題対策、インフレ対策、米国の広大な埋蔵天然ガスを活用したエネルギー対策など、さまざまな問題に関する一連の大統領令に署名することも語った。また、実業家のイーロン・マスク氏が率いるとされる政府外組織「政府効率化省」の創設や、環境分野に大規模投資するグリーン・ニューディール政策の廃止、政敵を攻撃するために政府を「武器化」することも終わらせると約束した。
さらに「人種差別のない、能力主義の社会を築く」と宣言。民主党政権下で進められてきたDEI(多様性・公平性・包括性)政策は廃止するとし、米国政府は「男性と女性の2つの性自認のみを認める」と語った。
黒人やヒスパニック系のコミュニティーに対しては感謝の意を示し、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア牧師を称え、「われわれは彼の夢を現実のものとするために努力する」と語った。
就任式は通常、連邦議会議事堂前の屋外で行われるが、当日の気温が非常に低かったことから、議事堂内で行われた。屋内で行われる就任式は、1985年以来50年ぶりとなった。就任式では宣誓後、ジュリア・ウォード・ハウ(1819~1910)作詞による「リパブリック讃歌」が合唱とオーケストラ演奏で披露され、その後にトランプ氏が演説を行った。
トランプ氏は就任式の前日、ワシントンの屋内競技場「キャピタル・ワン・アリーナ」で集会を開き、「わが国が直面するあらゆる危機を修復するために、歴史的な速さと強さをもって行動する」と述べていた。
「明日(20日)の夕日が沈むころまでには、国境への不法侵入は完全に阻止され、全ての不法侵入者は何らかの形で自国への帰路に就くことになるだろう。われわれは力を合わせ、皆の税金を減らし、インフレを終息させ、価格を引き下げ、賃金を引き上げ、何千もの工場をふさわしい場所である米国に戻す」
また、新政権の下では、学校が「子どもたちに自国を愛し、歴史を尊重し、偉大な星条旗を常に敬うことを教える」と約束。「(人種差別を社会構造に組み入れて解決しようとする)批判的人種理論と、トランスジェンダーの狂気は、学校から徹底的に排除する」と述べていた。