日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会は14日、石破茂首相と立憲民主党の野田佳彦代表に対し、年頭に伊勢神宮に参拝したことに抗議する声明(6日付)をホームページで発表した。
同委は昨年12月、両氏に対し、年頭に伊勢神宮を参拝しないよう要請していた。声明は伊勢神宮について、「宗教法人神社本庁の『本宗』であり、皇祖神とされる『天照大神』を祀(まつ)る宗教施設」と指摘。首相の伊勢神宮参拝は、憲法20条3項の政教分離原則に違反しているとした。野田氏に対しても、政教分離原則と同99条の憲法尊重擁護義務に違反した疑いを禁じ得ないとした。
石破氏が参拝後、神宮司庁内で政府としての年頭記者会見を行ったことについては、「伊勢神宮と日本政府が特別な関係にあるかのような印象を与え、結果として伊勢神宮への特別な配慮を示した」と指摘。会見を伊勢神宮参拝の報告から始めたことは、「あたかもそれが首相としての必須の職務であるかのような印象を与えるものであった」とした。
さらに、伊勢神宮は靖国神社と共に、かつて日本が犯した侵略戦争と植民地支配推進の精神的支柱としての役割を果たしたと指摘。首相の伊勢神宮参拝は、「国家神道体制や武力による戦争抑止力に依存しようとする一種の軍国主義の復活への意図を想起させる行為」とした。野田氏に対しても、党を代表する者らが参拝することは、「かつての侵略戦争と植民地支配を肯定し、軍国主義の復活を彷彿(ほうふつ)とさせ、再びアジア諸国に脅威の念を抱かせるばかりでなく、アジア諸国に対する謝罪と悔い改めを表明している者らの善意をも踏みにじる行為」と批判した。