同志社大学は17日、戦時下の日本に留学し、27歳で獄死した韓国のクリスチャン詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ、1917~45)に、名誉文化博士号を授与することを決定したと発表した。学位贈呈式は、尹の没後80年の召天日となる来年2月16日に、同大今出川キャンパス(京都市上京区)の同志社礼拝堂で行われる。
韓国で「国民的詩人」として親しまれる尹は1917年、旧満州北間島(プッカンド、現中国吉林省東部)生まれ。キリスト教系の延禧(ヨニ)専門学校(現延世大学)卒業後、戦時下の42年に来日。立教大学文学部で半年学んだ後、同志社大学文学部に転入学した。
日本でもハングルでの詩作活動を続けたが、同志社大学在学中の43年、抗日独立運動の思想犯として治安維持法違反容疑で逮捕される。44年に懲役2年の刑が確定し、45年2月16日に福岡刑務所で獄死した。
来年は尹の没後80年だけでなく、今出川キャンパスにある尹の詩碑建立30周年、同志社創立150周年の記念の年でもある。同志社大学は、来年は戦後80年を迎えることにも触れ、「改めて歴史の中に尹東柱がいたことを記憶するとともに、歴史の教訓を心に刻み、新しい時代を展望すべきであると考えています」としている。
学位贈呈式の後には、尹の追悼式も行われる。追悼式は、1部が詩碑献花式、第2部が来賓紹介・講演会。講演会では、同志社大学学長で神学者の小原克博氏が講演する。
韓国の公共放送KBSによると、同志社大学が既に亡くなった人物に博士号を授与するのはこれが初めて。尹のおいである成均館(ソンギュングァン)大学の尹仁石(ユン・インソク)名誉教授が来日し、代理で学位を受け取る予定だという。