ドナルド・トランプ次期米大統領は11月から12月初めにかけ、来年1月に発足する次期政権の主要人事を相次いで発表した。その中で、閣僚である住宅都市開発省の長官には、牧師のスコット・ターナー氏(52)を指名した。
ターナー氏は、米テキサス州プレイノに拠点を置くプレストンウッド・バプテスト教会(英語)の副牧師。同教会はプレイノのほか、近隣のプロスパーにも会堂があり、会員数が4万9千人に上るメガチャーチ。
ターナー氏は、元プロアメリカンフットボール選手、元テキサス州下院議員といった経歴も持ち、第1次トランプ政権では、ホワイトハウス機会再生協議会(WHORC)事務局長を務めた経験がある。
トランプ氏は11月22日の発表(英語)で、ターナー氏が第1次トランプ政権下で、「わが国の最も困窮した地域社会を変革する、前例のない取り組みを主導する手助けをした」と評価し、次のように述べた。
「ターナー氏は、住宅都市開発省のベン・カーソン元長官と協力してこれらの課題に取り組み、経済開発促進に関する200以上の政策を実施する16の連邦機関を監督・指導し、成果を最大化した。ターナー氏のリーダーシップの下、該当地域には500億ドル(約7兆5千憶円)を超える民間投資が寄せられた」
アメリカンフットボール選手としては、7シーズンにわたり米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)で活躍し、ワシントン・レッドスキンズ(現ワシントン・コマンダーズ)とサンディエゴ・チャージャーズ(現ロサンゼルス・チャージャーズ)でディフェンスバックとしてプレーした。
その後、2013年から17年までテキサス州下院議員を務め、19年から21年までWHORC事務局長を務めた。現在は、第1次トランプ政権後にカーソン氏が設立した保守系団体「米国コーナーストーン研究所」など複数の団体で役員を務めている。
プレストンウッド・バプテスト教会のジャック・グラハム主任牧師は、自身のX(旧ツイッター)への投稿(英語)で、ターナー氏を「偉大な人物」だとし、住宅都市開発省の長官への指名は「素晴らしい選択」だと称賛。その上で、「(ターナー氏は)今回の重要な地位にあって、素晴らしい仕事をするでしょう」と期待を示した。
カーソン氏も自身のXへの投稿(英語)で、ターナー氏を「生まれながらのリーダーであり、神に選ばれた本当に素晴らしい人物」だとし、次のように述べた。
「私は彼がこの機関(住宅都市開発省)を新たな高みに導き、米国民に素晴らしい結果をもたらすと確信しています」
トランプ氏はこの他、同じく閣僚である退役軍人省の長官に、米空軍予備軍司令部のチャプレン(牧師)であるダグ・コリンズ氏(58)を指名している。コリンズ氏も、ジョージア州下院議員や連邦下院議員を務めるなど政治経験があり、地域教会の牧師や弁護士としての経歴も持つ。
閣僚の任命は上院の承認が必要で、ターナー、コリンズ両氏の正式な就任は、来年1月招集の新議会で決まる。一方、大統領選と同時に行われた連邦議会選により、上院は新議会では共和党53議席、民主党47人議席となる。共和党が過半数を占めるため、両氏とも承認に必要な票は確保できる見込み。
ターナー、コリンズの両氏が所属する教派はいずれも、米国のプロテスタントでは最大の南部バプテスト派。