・・・イエスはたとえを用いて話された。「種を蒔く人が種蒔きに出かけた。・・・別の種は良い地に落ち、生え出て、百倍の実を結んだ。」・・・そこでイエスは言われた。「・・・ このたとえの意味はこうです。種は神のことばです。・・・良い地に落ちるとは、こういう人たちのことです。正しい、良い心でみことばを聞くと、それをしっかりと守り、よく耐えて、実を結ばせるのです。(ルカの福音書8章4節〜15節)
誰でも、新入社員や新入生のころ、また新しい土地に引っ越したばかりの時や新婚時代には、急激な変化成長を体験するのです。ですからこの新年度、私たちも新しい心を神から与えられたいと思います。
今日は有名な種蒔きの物語を読みました。種、すなわち神の言葉がまかれる土地は、人の心を表しているということを再認識しましょう。4つの心の状態があるとイエスは言われました。
1.悪魔に隙を与え恵みを失う弱い心
聖書は、悪の力は日々私たちに襲いかかっているのだから、十分に気を付けなさいと語っています。私たちは見えないウィルスやアレルギー物質のことにはとても神経質に予防策を考え、実行するのですが、自分の心が悪の力の影響を受けることには全く無防備なのです。
テレビのニュースは圧倒的に悪いことが多く、ドラマやゲーム、映画にアニメ、マンガ、小説などでは殺人が頻繁に繰り返され、雑誌では誹謗中傷が蔓延しています。最近、凶悪事件がどんどん起こり始めたのは、人の心がそのような悪に無防備にさらされているからです。心を悪から守る防御壁がないことは、非常に恐いことです。
私たちは悪魔に隙を与えてはいけません。人を踏みつけたり攻撃することが当たり前だと思い込んではいけません。そういう生き方は、神からの幸せの種を、みすみす悪魔に奪われて、幸せをつかむことができないのです。
2.長続きしない変わりやすい心
何をやっても飽きっぽく、すぐやめてしまう心ではいけません。特に喜怒哀楽の激しい方は、熱しやすく冷めやすいのでぜひ気を付けて下さい。
皆さんの持っているもので何年も使い込んでいる物があるでしょうか。音楽をする人でも、この人は本物になりそうだと感じるのは、自分が使う楽器を大切にし、きちんと手入れをする人です。この4月からの1年、じっくり使い込んでいる物、そしてここまで何年も使っている物があるなら、それを手入れして磨いて大切にして用いていきましょう。
イチロー選手も、道具の手入れには余念がありません。35歳になった今も、変わらず活躍し頼りにされる理由のひとつは、彼が使っている道具を長年手入れをして使い込み、大切にしているところにあるのです。
私たちは三日坊主ではなくて、変わらないものを心の中に見つけ出していきたいと思います。
3.色々な事を気にしすぎて迷いやすい心
いろいろな心遣い、気遣い、心配で心がいっぱいで、雑事に塞(ふさ)がれてしまって、神のみことばが育たず実を結ぶまでに至らないのです。
例えば、新しい職場に変わったり、子どもの進学や引っ越しなど、あれもこれもと心が不安や心配でいっぱいになってしまい、何だか自分が幸せではないような感覚に陥ってしまう人がいます。良いことが起こっているのにどうして悩みに変えるのでしょう。良いことはたくさんあるのに世の中の心遣いで平安を失ってはいけません。
現代日本人の不幸は、物や選択肢が多すぎることにあるのです。大切なことはただひとつ、神の御言葉を頂いて歩めば大丈夫です。イエスの恵みから目を離さないことです。心配事と思えることは全部良いことに結びついて与えられていることを知りましょう。
一番大切なことはイエスがど真ん中にいてくれることです。そうすれば、お金のことも人間関係も大丈夫です。
4.100倍の実を結ぶ良い心
イエスの言われる100倍の実を結ぶ良い心とはどういうものでしょうか。それは、継続する粘り強い心のことだと言われています。最近は粘り強さということが言われなくなりましたが、イエスは、しっかりとみことばを守り、よく耐えていけば、その実は100倍にもなると言われたのです。
この新年度の中で、継続し守り続けるものを一つや二つは持とうではありませんか。聖書通読、教会での奉仕、日曜の礼拝、家族のための祈り、神の前に持続する粘り強い心でやり続けることを意識してゆきたいと思います。
気を付けて欲しいのは、この4つの心をもつ4種類の人がいるのではなく、1人の心の中にどれかが起こりうるということです。私たちは自分のために良い心を選びましょう。
この1年を私たちは新鮮な心で歩みましょう。新人としての神の子どもの心を、神は祝福して下さいます。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。