日本聖公会京都教区の高地敬主教が23日、平安女学院大学(京都市)で開催された第121回定期教区会で、同教区の元牧師による性加害事件を巡る対応の責任を取り、辞職する意向を表明した。
教区主教の辞職には、教区の常置委員会と、日本聖公会の主教らで構成される主教会の承認が必要。常置委員会には10月に辞意を伝え、既に教区会前に承認を得ており、主教会が承認すれば正式に辞職することになる。
京都教区では1980年代に、教会に通っていた少女が元牧師から数年にわたり性被害を受ける事件があった。少女は成人後に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症し、2001年に元牧師を提訴。05年には被害事実を認め、元牧師に500万円の損害賠償を命じる判決が最高裁で確定した。
一方、事件を巡っては、京都教区側が判決を全面的に否定するコメント(後に撤回、謝罪)を出すなど、さまざまな2次加害を起こした。そのため、08年には事件発覚時の教区の対応に関する調査報告書を発表。15年には常置委員会が高地主教に辞職を勧告するとともに謝罪を表明し、さらに22年には教区の2次加害に関する検証報告書と高地主教の謝罪文を発表していた。
高地主教は、本紙の取材に対し次のように語った。
「事件を巡る責任については長年取り組んできましたが、私自身にも責任があり、教区と自分自身を何とか良い方向に向けようと考えてきた一方で、いつか責任を取らなければという思いもありました。教区の教役者会で話し合う中、10月ごろから後者の思いが強まってきました」
「事件については、教区として、教区主教として、本当に間違えた対応ばかりをしてきて、被害を受けた方には2次加害という形で計り知れない痛みを与えてしまいました。20年近くそのことを考えてきましたが、改めて心からお詫びします」