ブラジル聖書協会(SBB)はこのほど、聖書(旧新約合本・新約のみの合計)の累計印刷部数が2億冊の大台に達したと発表した。7日には、サンパウロ近郊のバルエリで感謝礼拝が行われ、記念の特別版聖書も出版された。
SBBは2011年に聖書の累計印刷部数1億冊を達成しており、それから約13年で倍の2億冊を達成したことになる。この驚くべき偉業は、聖書に対する需要の高まりを反映したものであり、各国で聖書の翻訳・製作・頒布を行う「聖書協会」の世界的なネットワークの一員として、SBBが長年にわたって尽力してきた成果でもある。
SBBはこれまで、学習用聖書やテーマ別聖書、2カ国語聖書、多言語聖書、点字聖書、土着語聖書などを含むさまざまなタイプの聖書を製作してきた。製作した聖書の言語数は87言語に及び、さらにこれらの聖書を122カ国に輸出してきた。
2023年は世界全体で計1億5200万冊の聖書が頒布されたが、そのうち3200万冊はブラジルで頒布されている。
SBBはブラジルだけでなく、中南米全体の主要な聖書の供給源となっている。バルエリにあるSBBの「聖書製作センター」は聖書のみを製作する印刷工場で、平均して3秒に1冊のスピードで聖書を製作している。これまでに製作された2億冊の聖書のうち、7割はブラジル国内で使用されているが、残りの3割に当たる約6千万冊はブラジル国外に送られている。
ルーテル派の牧師であるSBBのエルニ・ウォルター・ザイベルト総主事は、「1冊の聖書が1人の手元にのみ届けられたとしても、2億冊あれば2億人に届きます」と強調。中南米では複数人が1冊の聖書を共有して読むことが多いことから、「1冊の聖書は2人以上の手に渡ります」と話した。
SBBは現在、家族と社会に和解をもたらすものとして聖書を推進しており、紛争が絶えない中、平和と相互理解を育む上で聖書が果たす役割の重要性を強調している。22年にはその一環として、戦争のただ中にある人々に慰めと希望をもたらそうと、ウクライナ語の新約聖書10万冊をウクライナに届けた。
この他、聖書の頒布だけでなく、子どもや受刑者、入院患者、障がい者、薬物依存者といった社会的に弱い立場にある人々の支援活動も行っており、支援した人はこれまでに35万人に上る。