米国聖公会は8日、昨年1年で会員数が3万7千人減少したものの、礼拝出席者数は増加したとする最新の統計を発表した。
米国聖公会の教区別の教勢統計をまとめた「教区報告書」(英語)によると、2023年の会員数は154万7千人、教会数は6754件だった。22年は会員数が158万4千人、教会数が6789件で、この1年でそれぞれ3万7千人、35件減少した。14年の会員数は195万6千人で、この10年で40万9千人の会員を失ったことになる。
しかし、日曜日の平均礼拝出席者数は2年連続の増加となり、21年は31万2千人だったのが、22年は37万3千人、23年は41万1千人と増えた。報告書によると、礼拝出席者数の増加は、新型コロナウイルス感染症のための措置や健康上の懸念により一時期急減したものが、緩やかに回復していることを反映したものだという。報告書は次のように述べている。
「ここで報告されている(礼拝出席者数)は、対面式の礼拝出席者数のみであることに注意が必要です。23年には、米国聖公会の約4分の3の教会が、オンラインまたはハイブリッド式の礼拝を行いました」
「これらの教会の約3分の2でオンラインの礼拝出席者を追跡していましたが、人数に基づく計上、接続デバイス数に基づく計上、他の指標に基づく推定公式の使用など、標準化された計測法が存在しなかったため、オンラインの礼拝出席者数は本報告には含みませんでした」
礼拝出席者数は回復基調にあるものの、コロナ前である19年の54万7千人に比べると、依然として大幅に少ない。
また、教会の規模別で見ると、23年の礼拝出席者数が25人以下の教会は32・9%、26~50人は26・8%、51~150人は32・1%、151人以上は8・3%で、米国聖公会の約6割の教会は礼拝出席者数が50人以下となっている。
会員数と礼拝出席者数の減少にはさまざまな要因があるが、米国聖公会がこの20年から30年の間、神学的によりリベラル化したことも一因とされる。
例えば、03年には同性愛者を初めて主教に叙任し、神学的に保守的な教区と教会がこれに抗議し、脱退を選ぶ結果となった。一方、米国聖公会は脱退を認めなかったことから、多くの教会の不動産や資産を巡る、何年にもわたる訴訟を引き起こすことになった。
2日には、ニューヨークにある米国聖公会の教団本部で、ショーン・ロウ総裁主教の就任式が行われた。ロウ総裁主教は6月、15年に黒人として初めて選ばれたマイケル・カリー前総裁主教の後任として、歴代最年少で選出されていた(関連記事:米国聖公会、49歳のショーン・ロウ主教を次期総裁主教に選出 歴代最年少)。
ロウ総裁主教は就任のメッセージ(英語)で、教区や教会は単独で営むことはできず、「相互依存関係を認め、共に奉仕し合い、持てるものを分かち合い、互いを支え合う必要がある」と語った。
「傷ついたこの世界において、私たちは一つの教会となる必要があります。私たちは教区や教会の集合体ではなく、物事のやり方の集合体でもありません。私たちは一つの教会、イエス・キリストにある一つの教会なのです」
「この働き、すなわちイエスの復活と命を、言葉と行いによって宣言する働きのためにこそ、神が米国聖公会を、今も、またいつでも一つの共にある教会として、呼び出されたのです」