神経衰弱になりかけていたファティマ(安全のため本名は伏せてある)は、神にご自身を現してほしいと叫んだ。厳格なイスラム教の家庭で育った彼女は、極度のうつと不安に陥っていた。そんな絶望の狭間にいた彼女にその夜起こった出来事は、彼女をキリストにおける新しい人生へと導いたのだ。
当時を振り返り、ファティマは言う。「私は最悪な人生の谷間にいました。無我夢中で神を求めて叫んでいたのです。『神よ、もしあなたが本当に存在するのなら、それが聖書に書かれているお方であれ、コーランに書かれているお方であれ、私に道を示してください!』そして、神はその祈りに応えてくださったのです。当初は何の答えもなかったので、私は憔悴(しょうすい)して疲れ果て、眠ってしまいました。ところがその夜、眠っている間に不思議な夢を見たのです。それは見たこともない教会に自分がいる夢でした」
翌日、ファティマは夢で見た教会を見つけようと決心した。必死になってあちこち尋ねて回ったが、夢で見た教会は見つからず、諦めかけていたそのときだ。実際に夢で見たのと同じ教会を発見したのである。彼女の心は驚きと喜びで踊った。「夢で見たのと全く同じ教会でした。私は中に入って座りました。祈り方が分からなかったので、旧約聖書を開いて読み始めました。自分の内面にはわずかな変化が感じられただけで、それは私が本当に必要としている変化ではありませんでした」
彼女が撮った教会の画像が、厳格なイスラムの家族らに見つかると、彼らはファティマを脅し始めた。あまりにも嫌がらせや反対が強くなり、結局、彼女には家にとどまる選択肢はなかったのだ。「『背教者を殺すことは許されている』と家族に言われたとき、本当に背筋が凍る思いでした。しかし、主は私を見捨てませんでした。主は、私の前に扉を開いてくださり、信頼できる安全な人の家に泊まることができるようにしてくださったのです」
安全な家で寝泊まりできるようになった期間に、ファティマの人生は一変した。「ある日、衛生放送を通じて中東でテレビ伝道をしている牧師の説教が耳に入ってきました。私は大きな感動を受けて、団体の窓口に電話をしたのです。電話に出たのは、現地スタッフのノール兄弟でした。私は彼に、今自分が置かれている状況を話すと、彼は教会で会いませんかと提案してくれました。ノール兄弟に会ったとき、彼は『あなたの探している喜びはここにある』というタイトルの本をくれました。この本は私にとって大きな転機となったのです」
「私はノール兄弟と一緒に祈り、彼はこう尋ねました。『ファティマ、イエス・キリストにあなたの人生をささげたいと思いますか?』それに対して、私は何の迷いもなく『はい』と答えました。その瞬間、私は神の臨在を強く感じました。あの時の感覚は決して忘れることはないでしょう」
「悲しみを感じたり、問題を抱えたりするたびに、この宣教団体から、例えば『悪に負けてはいけません。かえって、善をもって悪に打ち勝ちなさい」(ローマ12章21節)というようなメッセージが、本当に必要なタイミングで届くのです。私を助けてくれたこのミニストリーには感謝しかありません。神が彼らを使って、多くの人々をキリストのもとに導いておられるのがよく分かります」
イスラム教の国々から、このような証しが毎日のように届いている。高くそびえていたイスラムの牙城は崩れつつあるのだ。このような不思議な証しが、なおイスラム世界で響き渡り、信仰に入る者が続々と起こされるように祈っていただきたい。
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