韓国・ソウル中心部で、宗教改革記念日(10月31日)直前の日曜日である10月27日、プロテスタント諸教会による「韓国教会200万連合礼拝・大祈祷会」が行われた。主催者は「悔い改めとリバイバル、韓国社会の聖性の回復」を主題に掲げ、オンラインによる参加を含め、計210万人が共に礼拝し、祈りをささげた。
連合礼拝・大祈祷会は、ソウル中心部の光化門(クァンファムン)一帯、ソウル市庁前広場、ソウル駅前、汝矣島(ヨイド)一帯で、午後2時から同5時までの3時間にわたり行われた。主催者によると、小雨も混じる悪天候の中、110万人が現地に足を運び、100万人がオンラインで参加した。前例のない規模の合同行事で、教派を超えて韓国内のプロテスタント諸教会が一同に会し、伝統的な結婚と家族を肯定し、自国のために祈りをささげた。
連合礼拝・大祈祷会が開催される契機となったのは、韓国内で議論の的となっている「包括的差別禁止法」。韓国のキリスト教指導者らは、この法律が成立すれば、同性婚への道が開かれ、最終的にはジェンダーイデオロギーが広がり、家庭を傷つけ、教会が信仰を実践する自由が制限されることにつながるのではないかと懸念している。また、欧米諸国の現状を、将来自国にも起こり得る事態を示す予兆や警告だとしている。
連合礼拝・大祈祷会の共同大会長を務めたサラン教会のオ・ジョンヒョン牧師は、参加者らに向けて次のように語った。
「今日、私たちが霊と真理をもってささげる礼拝を通して、家庭と教会が生き返り、韓国の教会と世界の教会が新たなリバイバルを経験することを願っています」
連合賛美隊の賛美の後、元法務部(法務省)長官で元国政院長のキム・スンギュ氏が代表祈祷をささげた。その後、弟子光星教会のパク・ハンス牧師、ウリドゥル教会のキム・ヤンジェ牧師、米カベナント神学校のブライアン・チャペル名誉学長の3人が説教を取り次いだ。
3人はいずれも、教会が沈黙を続けるのではなく、家庭や子どもたちを守るために声を上げることの重要性を強調。キム・ヤンジェ牧師は、「私たちの悔い改めを受け入れ、家族を守ってください」と祈りをささげた。
その後、英国とドイツからの登壇者が、韓国の教会に対し、神への信仰から離れてしまったという両国と同じ道を歩むのではなく、世界の教会の模範となり、神の真理の光を輝かせるよう促した。
そのうちの一人である英福音派アドボカシー団体「クリスチャンコンサーン」創立者で弁護士のアンドレア・ウィリアムズ氏は、次のように語った。
「英国が神を忘れる日が来るなど、誰が思ったでしょうか。しかし、現実にはそうなってしまったのです」
「英国人はイエス・キリストを公生活から排除しました。人々はイエスが誰なのかも知りません。彼らは胎児を殺す権利や同性婚を法制化しました。路傍伝道者は投獄され、聖書を配ったり、職場で祈ったりする人々は処罰されます。このようなことが起こっている間、英国の教会は眠り続けていたのです」
その後、参加者の団結と献身の表明として、共同宣言(韓国語)が発表された。
宣言は、現在起こっている価値観の危機を強調し、教会がこれまで果たすべき役割を果たしてこなかったことへの悔い改めを表明。特に、家庭を保護すること、誰もが「信仰、言論、思想、表現の自由」を持つこと、そして教会が社会における「地の塩」「光」としてその役割を果たしていくことを確認している。その上で、政府や裁判所、国会、教育部(教育省)に対して、同性婚を認める法律や、学校の教科書を通じて同性愛やジェンダーイデオロギーを推進する法律の制定を控えるよう呼びかけている。
終わりに、連合礼拝・大祈祷会の組織委員会は、次のように述べた。
「ここに集まった人々は、教会の社会的役割を果たすことを誓い、信仰共同体としての連帯を再確認しました。この礼拝は、韓国の教会が社会的責任と信仰の本質を顧みた重要な瞬間として、また教会が取るべき方向性と役割を示すマイルストーンとして、記憶されることでしょう」
現地に集った参加者数について、主催者は110万人と発表したが、韓国大手の通信社である聯合(れんごう)ニュースによると、警察は23万人と発表した。
主催者発表と警察発表の人数に大きな開きがあることはこれまでにもあった。2016年に行われた朴槿恵(パク・クネ)大統領(当時)の退陣を求める集会では、主催者は参加者数を100万人と発表したが、警察は26万人と発表した。この際、聯合ニュースは地下鉄やバスの利用客数を基に、132万人が参加していた可能性があると伝えていた。
今回の連合礼拝・大祈祷会の現地の参加者数についても、韓国の大韓イエス教長老会(高神)系のキリスト教オンラインメディア「コラムデオ・ドット・コム」(韓国語)が、ドローン映像を人工知能(AI)を使って分析したところ、84万~100万人と推計されたという。