日本キリスト教病院協会(JCHA)の第4回総会が27日、ヴォーリズ記念病院(滋賀県近江八幡市)で、「スタッフへのケアと人材育成」をテーマに開催された。今年は、近畿地区チャプレン連絡協議会がオブザーバーとして加わり、総勢34人が参加した。
「発題とグループ討議」では、淀川キリスト教病院(大阪市)チャプレンの國安光氏が「スタッフのケア」と題して発題。また、東京衛生アドベンチスト病院(東京都杉並区)副院長兼看護部長の平野美理香氏が、「理念継承と人材育成」と題して語り、その後、グループでの討議が行われた。
総会ではこの他、参加した各病院の代表者らによる近況報告や、11月7~9日に沖縄で開催されるアジアキリスト教病院協会(ACHA)の第27回総会の準備報告と案内もあった。
ACHAの第27回総会は、「世界的危機におけるキリスト教病院の役割―経済危機、自然災害、そして世俗主義」がテーマ。「ですから、私の愛する兄弟たち。堅く立って、動かされることなく、いつも主のわざに励みなさい。あなたがたは、自分たちの労苦が主にあって無駄でないことを知っているのですから」(1コリント15章58節)を主題聖句に掲げ、淀川キリスト教病院理事長の笹子三津留氏による基調講演などを予定している。
ACHAの総会はこれまで、参加対象者をキリスト教病院の関係者に限定してきたが、今回から対象を広げ、一般病院や診療所で働くキリスト者の医療従事者も参加可能となった。申し込みの最終締め切りは10月4日で、既に日本国内だけでなく、韓国や台湾、タイ、米国など、国外からも多数の申し込みがあるという。
ACHAの歴史は、キリスト教病院の使命と経営の在り方を学ぼうと、キリスト教病院の経営者らを対象に、1993年に淀川キリスト教病院で開催されたセミナーにまでさかのぼる。セミナーは「ミッションと病院経営」をテーマとし、プロテスタント、カトリックの病院それぞれから計61人が参加。さらに、淀川キリスト教病院と交流のあった韓国と台湾のキリスト教病院からも9人が参加したことで、「日韓台キリスト教病院最高経営者会議」が発足、その後ACHAへと発展した。
その一方で、日本国内のキリスト教病院間の交流が活発ではなかったことから、2021年にJCHAが発足。淀川キリスト教病院、オリブ山病院、衣笠病院(横須賀市)、ヴォーリズ記念病院、神戸アドベンチスト病院(神戸市)、賛育会病院(東京都墨田区)の会員病院に加え、オブザーバーとして救世軍清瀬病院(東京都清瀬市)が参加して、同年に第1回総会を開催した。今年は、愛知国際病院(愛知県日進市)の入会が決まり、会員病院は7つとなった。
総会の参加者には、JCHA副会長でオリブ山病院(那覇市)理事長の田頭真一氏の新刊『イエス様のスピリチュアルケア―イエス様の教えと模範』が贈呈された。昨今は、スピリチュアルケアをイエス・キリストの働きとして捉えた視点の論述は少なく、希少な内容となっており、同書を教会の学び用テキストとして採用するところもあるという。
来年の第5回総会は、東京衛生アドベンチスト病院を会場に開かれる予定。