甲状腺がんで完全に声を失いながらも奇跡的に歌声を取り戻した韓国人テノール歌手ベー・チェチョルさんが4月12日、神奈川県大和市の大和カルバリーチャペルでリサイタルを行う。
1969年、韓国生まれ。ソウルの漢陽(ハニャン)大卒業後、イタリアのヴェルディ音楽院を修了。その後、ヨーロッパ各地の声楽コンクールで優勝を重ね、ハンガリー国立歌劇場、パルマ市立歌劇場などの大舞台で活躍。世界的にも貴重な「リリコ・スピント」の声質を持ち、「アジアのオペラ史上最高のテノール」と称された。
だが、05年に甲状腺がんに襲われ、摘出手術で声帯と横隔膜の両神経を切断。歌声に加えて右側の肺の機能まで失った。
それでも声帯機能の回復手術と厳しいビハビリを乗り越え、奇跡的に演奏を再開。昨年、復帰後初となるCD「輝く日を仰ぐとき」を収録した。
07年に放送されたNHKのドキュメンタリー番組の中で、ベーさんは自らの置かれた状況について語っている。「私の人生に神がどのような試練をお与えになったとしても、それを乗り越え、生きていくようにというのが、神からのお導きだと思います」
開場は午後2時(同2時半開演)。一般1500円(小中高生1000円)。全席自由。問い合わせは大和カルバリーチャペル(046・200・1010)。