先月8月10日のワールドミッションレポートで、パプアニューギニアの集団洗礼のレポートを紹介した。これはセブンズデー・アドベンチスト教会によって短期間のうちに30万人以上が洗礼を受けたとするものだ。この様子を報じたのが、同教会の報道機関であるアドベンチスト・トゥデイだ。
この集団洗礼は「パプアニューギニア・フォー・クライスト」というキャンペーンの一環で行われた。しかし、これについてより詳細に突っ込んで調べてみると、内情は決して単純なものではなく、複雑な状況が浮かび上がった。
それで分かったことなのだが、どうやら今回洗礼を受けた人々の多くはすでにキリスト教徒であり、アドベンチスト教会に加わることを選んだ者たちの再洗礼であったというのだ。安息日についての新しい理解が、日曜日から土曜日の礼拝への移行を彼らに促したというのである。
また正確な洗礼者数を確認することは難しく、推定では20万人から30万人以上とされている。しかし、もしこれが事実であれば、パプアニューギニアにおけるアドベンチスト教会の会員数は今までの1・5倍以上増加したことになる。
このような集団洗礼が起きる背後には、現地の文化が大きく関与しているようだ。パプアニューギニアでは村全体が宗教的な決定を一緒に下すことが多く、個人の信仰よりも地域社会における結び付きが優先されるケースがまれではない。そういうわけで、この集団洗礼には賛否両論があり、多くの者がこれを意味ある経験と感じる一方で、分裂を引き起こすこともあったようだ。
政治指導者たちには、今回の集団洗礼を支持する者が多く、アドベンチスト教会の信徒であるパプアニューギニア首相も集団洗礼式をサポートして、これに参加している。このことは教会の政治への影響に対する疑問を生じさせているのだ。また、洗礼を受けた人々が、自分が信じている信仰をどの程度理解しているのかについても懸念が持たれている。
なお、これらの洗礼に関する情報のほとんどは、セブンスデー・アドベンチスト教団の広報としての役割を果たすアドベンチスト・トゥデイの情報源に依存しており、主流のニュース媒体や独立した情報源からの報道はほとんどない。もちろんこれによって、報告されていることを全て無効にするわけではないが、偏りがある可能性や慎重な解釈が必要であることは間違いない。
引き続きパプアニューギニアのために祈っていただきたい。
■ パプアニューギニアの宗教人口
プロテスタント 58・54%
カトリック 26・49%
イスラム 0・04%
儒教 0・02%
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