南米コロンビアなどに住む先住民族ワユウ族が使用するワユウ語(ワユナイキ語)訳の聖書が、このほど完成した。10日には同国北部ウリビアで記念式典が行われ、コロンビア聖書協会やワユウ族の関係者ら500人以上が出席した。
ワユウ語訳聖書の翻訳は2010年に始まり、ワユウ語話者の翻訳者、聖書学者、言語学者、ワユウ族の指導者など、さまざまな人々が協力し、約13年の年月をかけて完成させた。費用は約45億コロンビアペソ(約1億6千万円)を要し、その多くは国内外から寄せられた献金によってまかなわれたという。
今年創立50周年を迎えたコロンビア聖書協会は、ワユウ語訳聖書の翻訳を記念事業の目玉として行った。
福音派メディア「エバンジェリカル・フォーカス」(英語)によると、ワユウ語訳聖書の表紙には、ワユウ語で「神の言葉」を意味する「Nünüiki Maleiwa」の文字が刻まれている。コロンビア聖書協会は、完成を記念してワユウ語訳聖書1600冊を無料で配布する予定で、さらに年内に計1万冊を配布する目標を立てている。
コロンビア聖書協会のアレクサンダー・ゴメス氏は、「私たちは、(ワユウ語訳聖書により)個人、コミュニティー、社会・文化それぞれのレベルで変革が起きると確信していますので、とても満足しています。神の言葉を『心の言語』で聞くワユウ族の兄弟姉妹は、神の愛に触れることでしょう」と話した。
ワユウ族のキリスト教指導者であるデインレス・エピエユ氏は、「全ての教会でこのツール(ワユウ語訳聖書)を使用すれば、都市部だけでなく農村部でも(宣教の)進歩を遂げることができます」と期待を示した。
また、ワユウ族のラモン・ウリアナ・エピエユ氏は、「私たちにとって、聖書の翻訳は発展を意味し、ワユウ語の言語的・文法的構造、また霊的側面の両方の進歩を意味します」と話した。
ワユウ族は、コロンビア北部と隣国ベネズエラ北部にまたがるグアヒラ半島に住む先住民族。両国の国勢調査によると、コロンビア側には約38万人、ベネズエラ側には約41万人がいる。ワユウ族であれば、パスポートの必要なく域内を移動できるという。複雑な幾何学模様の手編みバッグを作る技術で知られる。母系制の社会構造を持ち、遺産や家系は女性を通じて受け継がれる。