唐突であるが、山崎純二さんは私の神学校の同期生である。神学校といっても、情熱と信仰、召命があれば入学できるJTJ宣教神学校である。学歴不問で誰でも入れるが故に、福音的というべきであろう。私はこの神学校がなければ牧師になってはいない。一方、彼はその後も米国の神学校で学んでいる。
彼の著書は数冊読んでいるが、学者肌である。語学も堪能で、英語でメッセージができ、韓国語の通訳もできるトライリンガルである。語学の天才というべきか。著書を読んでいても分かるが、膨大な読書量と、これまで培ってきた学びの集大成がここにあると思う。ただ書評を書くのではなく、著者本人との人格的な交わりの中で書けるという幸いを得ている。神学校が一緒だからといって、後々までこうして付き合う仲間というのは多くはない。仲間といえる人の出版は本当にうれしいものである。
さて、彼の新刊『Gゼロ時代の津波石碑』は、哲学に明るい人なら、ぜひお勧めしたい。哲学が分からない、この私でさえ哲学を学びたくなってくるような本である。この一冊を通して、私の好きな歴史の功罪や、深遠な心の葛藤の中に生まれてくる人間独自の悩みの種に触れたりすることができる。
詰まるところ、どんなに文明が発達しようが、医学の進歩があろうが、しょせん人間は神の被造物だということを懇切丁寧に説明している。無神論と唯物論の関係性、類似性、それらが向かう恐ろしい世界が説明されている。
人間の持つ弱さ、自分の力ではどうにもならないはかなさ、しかしそこにこそ、神の力と知恵が発揮されることを、この本は理解させてくれる。弱さのうちに完全に働く神の力を信じ認め、神の前に降参する。つまり弱さを認めるところから、キリスト信仰は始まるのだということが分かる。
日本に伝来した仏教といわれているものが、実は日本独自の仏教だということや、あるいは一神教と多神教のさまざまな関わりなど、多彩な内容になっている。その上で、この人生になくてはならない神の愛、人間関係、自然との調和、家族を大切にすることの大切さと基本をこの本は教えてくれる。
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『Gゼロ時代の津波石碑―再び天上の神様と繋がる日本―』は、アマゾン(紙版、キンドル版)で購入できるほか、那覇市のライフセンタービブロス堂でも取り扱っている。
■ 山崎純二著『Gゼロ時代の津波石碑―再び天上の神様と繋がる日本―』(2024年3月)
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