福島県郡山市で活動するNPO法人「FUKUSHIMAいのちの水」は13日までに、10トントラック10台分を超える量のミネラルウォーターや生活用水を、能登半島地震の被災地に緊急支援として発送した。今回の地震では水道への被害が相次ぎ、石川県を中心に断水が広範囲で発生。水は重要な支援物資となっている。
FUKUSHIMAいのちの水は、2011年の東日本大震災で発生した福島第1原発事故を受け、安全な水を子どもたちに届けようと、キリスト愛の福音教会逢瀬支教会(郡山市)の坪井永人(えいひと)牧師らが立ち上げた。日々の活動のため大量のミネラルウォーターを備蓄していたことから、地震発生後すぐに被災地へ届けることができた。
ミネラルウォーターのほか、毛布やトイレ・生理用品、生活用品などを加えた最初の物資は、キリスト教国際NGO「オペレーション・ブレッシング・ジャパン」の緊急支援チームを通して、被災地に届けた。
最初の物資を被災地に向けて発送したのは4日。その後は、郡山市や川崎市にある倉庫から、トラックやダンプカーなどにミネラルウォーターや生活用水を積み込み、ほぼ毎日、石川県内の被災地へ輸送した。これらの支援は全て公的機関の要請を受けたもので、被災地で活動するキリスト教支援団体とも協力しながら配布活動を行っているという。
被災地は、1日に最大震度7の地震が発生した後も余震が続いている。12日までに、震度5弱以上の揺れは16回に及び、震度3以上では150回を超える。さらに積雪にも見舞われ、特に大きな被害が出ている能登半島北部の輪島市や珠洲(すず)市への輸送にはさまざまな困難がある。珠洲市に向かった10トントラックは、雪や通行止めのため途中で動けなくなり、現地で数日待機することもあったという。
それでも坪井牧師は、「助けを待つ被災者を第一として支援を続けなければなりません」「昼夜を問わず支援のため働いている現地のクリスチャンワーカーたちが疲れ切ってしまわないように、少しでも多くの支援物資を送るよう努力し続けなければなりません」と話す。また、東日本大震災で被災した際、全国から支援を受けた経験から「今度は私たちが助ける番」だと言い、次のように語った。
「(東日本大震災では)揺れ動く大地の中に、イエス・キリストが立っておられることを私たちは見ました。そして学びました。イエスと共にいる者は、必ずイエスの愛を実現するということを。ですから、はっきりと信じることができます。能登半島地震の悲しみがどれほど深くても、必ずインマヌエルの神は被災地に立っておられると。だから私たちは支援を続けます。イエスがおられる所が、私たちが愛する所だからです」
FUKUSHIMAいのちの水は、10トントラック10台分を超える水の支援を、被災者の命に関わる緊急支援として行っており、その後も復興支援に切り替える形で、被災地に寄り添った支援を続ける計画。現在は、被災者の癒やしと被災地の復興、また緊急支援で必要となる輸送費用約200万円のために祈っており、募金への協力も広く呼びかけている。寄付は、郵便振替(02290・5・118137、NPO法人FUKUSHIMAいのちの水、通信欄に「能登地震募金」と明記)で受け付けている。