最大震度7を記録した能登半島地震の被災地に、複数のキリスト教団体が支援や調査のため現地入りし、水や食料、生活必需品などの物資配布を始めた。
地震により大規模な火災が発生した石川県輪島市に入った団体のスタッフは、「市内は焼けた匂いが充満しています。市内を中心にして、電気、ガス、水道がほとんど通じていない状況です」と報告。複数の団体が、陥没や亀裂、落石などにより道路状況が非常に悪化しており、移動や物資配布に影響が出ている被災地の様子を伝えている。
オペレーション・ブレッシング・ジャパン
オペレーション・ブレッシング・ジャパンは4日、東日本大震災の福島第1原発事故を契機に設立されたNPO法人「FUKUSHIMAいのちの水」から提供された水やおかゆ、毛布、衛生用品、非常用トイレなどを2トントラックに積み込み、ワゴン車と合わせて計2台で仙台市から被災地に向かった。
この日のうちに、内灘聖書教会(石川県内灘市)に水と毛布を届け、5日には要請を受けていた同県七尾市の特別養護老人ホームを訪問。ドリンクゼリーやおかゆなどの利用者向けの食料品や発電機を届けた。老人ホームの施設長は、「職員の皆さんが久しぶりに笑顔で喜ばれている様子が見られました。大変助かりました」と話していたという。
グッドネーバーズ・ジャパン
グッドネーバーズ・ジャパンは、緊急支援スタッフ2人が4日、同県輪島市に入り支援活動に向けた準備を始めた。同市は、地震による甚大な被害を受けた地域の一つで、大規模な火災が発生したことで、東京ドームの広さを上回る約4万8千平方メートルが焼失したとされている。
同市に入ったスタッフは、「市内は焼けた匂いが充満しています。市内を中心にして、電気、ガス、水道がほとんど通じていない状況です。支援団体もまだほとんど入っておらず、緊急に支援活動の開始が必要です。特に水と食料は、どこの避難所も必要とのことです」と報告している。
グッドネーバーズ・ジャパンは今後、現地の自治体や社会福祉協議会と連携を取り、同市で水や食料などの物資提供、避難所での炊き出しを実施する計画。
ハンガーゼロ
ハンガーゼロは、内灘聖書教会の牧師である酒井信也理事が2日、門前聖書教会(輪島市)を安否確認のため訪問。4日には近藤高史常務理事が現地入りした。近藤氏は、協力関係にある支援組織やキリスト教会のネットワークと共に、水や食料、トイレットペーパーなどの生活必需品を役場に持ち込む作業のほか、ベースキャンプの視察、今後の支援計画の検討などを行っている。
また5日には、非常食用のパンの缶詰と水をワゴン車に積み込み、広報部の鶴浦弘敏スタッフが、大阪府内から被災地に向けて出発した。8日には広報部の他のスタッフ2人も出発予定で、まずはこの2便により、パンの缶詰100ケース(25缶/1ケース)、水66セット(2リットル6本/1セット)を届ける計画。
クラッシュジャパン
クラッシュジャパンは、東京都内から出発したスタッフ1人が3日、七尾聖書教会(七尾市)を訪問。持参した物資一式を届け、現地の牧師から状況説明を受けた。その後、七尾市から志賀町方面の状況を視察し、4日に帰京。被災地を視察したスタッフは、次のように報告している。
「水道は、5日(午前)8時の時点でも七尾市をはじめ、被災地域で断水中で、給水車や給水袋による給水活動が続けられています。今回、珠洲、輪島の次に被害の大きかった七尾に視察に入りましたが、被災地の状況は大変厳しいです。2日時点でも支援物資は入りつつありましたが、道路状況が悪く、また物資を末端まで配布する手段や人手も足りず、避難所等まで物資が十分届いていないとのことでした」
今後はキリスト全国災害ネット加盟の他の支援団体と情報共有をし、協力連携を図りつつ活動を行っていくという。
九州キリスト災害支援センター
九州キリスト災害支援センターは、スタッフ2人が3日、九州各県に設置している防災倉庫からパンの缶詰と水を2トントラックに積み込み、被災地へ向かった。輪島市では、約80人が避難している公民館に水とパンの缶詰を提供。公民館は断水が続いており、生活用水を川からくんで使用している状況で、水の提供は非常に喜ばれたという。
七尾市では、支援の要請を受けていた高齢者施設を訪問。発電機、蓄電池、飲料水300ケース、パンの缶詰15ケース、マスク50枚入り70箱、延長コード、ガソリン・軽油各40リットルを届けた。
施設の様子については、「職員の方々は入所者や壊れた建物の対応で4日間お風呂に入っていなかったりととても大変な様子でした。それでも荷下ろしを手伝ってくださり、水の段ボールリレーでは思わず笑顔がこぼれていました。『久しぶりにみんなで笑えて良かったねー』と話されていたのが印象的でした」と報告している。
OM日本
OM日本は、三重県のチームが3日、全国キリスト者災害ネットやその他のキリスト教支援団体に現地の状況を報告するため、被災地へ向かった。3日午前5時に三重県を出発し、午前9時には内灘聖書教会に到着。同教会はOMの宣教師2人が牧師をしており、駐車場が広く、電気や水道が使えるため、被災者が避難したり、各地から届く支援物資を受け取ったりするための場所を提供しているという。
午前10時には内灘市を出発して七尾市に向かった。「断水が今も続いており、住民はトイレも一苦労。街のいたる所に地割れ、地盤沈下、液状化がありました」と現地の状況を報告している。同市では七尾聖書教会も訪問し、ニーズと祈りの課題を聞いた。
その後、輪島市の門前聖書教会に向かったが、悪化した道路状況や時間の関係により途中で引き返したという。「地割れがひどく、陽が沈むと先々が見えなくて事故を起こすためです。被災地では本当にたくさんのファクターが重なり、道路状況が悪くなる」と説明している。
ボランティアについては、現在は受け入れるためのインフラが整っていないが、受け入れに向けて多くの関係者が準備しているという。
各団体の多くは、支援活動のための緊急募金も実施している。各団体の支援活動に関する最新の情報や緊急募金に関する情報は、各団体のホームページやSNSで確認を。