日本聖書協会主催のクリスマス礼拝が8日、日本基督教団富士見町教会(東京都千代田区)で行われ、120人余りが参加した。礼拝後には、第34回聖書事業功労者賞の表彰式が行われ、6月に奉献式が行われた「聖書協会共同訳点字聖書」の翻訳・製作を担った東京点字出版所(同三鷹市)の肥後正幸理事長が受賞した。
礼拝は、会衆一同による賛美で始まり、同協会の風間義信理事(日本キリスト改革派仙台教会牧師)が、旧約聖書からイザヤ書9章1、5節、新約聖書からヨハネによる福音書1章1〜5、14節を朗読。菊地功副理事長(カトリック東京大司教)が祈祷をささげた。
菊地氏は、「今、世界は暴力に満ちあふれ、命が暴力的に奪われています」と言い、ウクライナ戦争や、今も不安定なミャンマー情勢などに言及。特に、イスラエル・ハマス間の戦闘については、「神の言葉が人となられた聖地において、暴力が支配していることに心を痛めています」と言い、平和を願った。その上で、「世界に平和が実現し、賜物である命を尊重し、守り、強めていくために、私たち一人一人が力を尽くすことができるように、あなたの聖霊をもって私たちを照らし、導いてください」と祈った。
メッセージは、小海光理事(米合同メソジスト教会牧師)が取り次ぎ、「光は闇の中で輝いている」と題して伝えた。
小海氏は、「主イエス・キリストの誕生は、闇に覆われたような世界の光の輝きでした。そして、主イエス・キリストは、その生涯を懸けて、闇の中を歩く人々、闇の中に追いやられた人々に歩み寄り、赦(ゆる)しと慰めの光を輝かせました」と述べ、イエスが「闇の中の光」として来られたことを強調。さらに、イエスは十字架の死と復活によって「永遠に輝く光」となり、「ユダヤ人にも、異邦人にも、信じる者にも、罪深い者にも、全ての人に与えられた愛の光」であったとし、「ここにクリスマスの喜びがあります」と伝えた。
その上で、ヨハネによる福音書1章1〜5節のうち、5節の「光は闇の中で輝いている」だけが、過去形ではなく現在進行形であることに注目。イエスは、今も輝き続ける光だと話した。そして、「私は世の光である」と自ら言われるイエスが、「私に従う者は闇の中を歩まず、命の光を持つ」(ヨハネ8:12)と語られたことに言及。「イエスの光は喜びと希望を与え、平和をもたらす光です。そして、(イエスは)この光が私たち一人一人の中に与えられている、と教えてくださいました」と話し、一人一人が自らの中にある光を輝かすように励ました。
メッセージの後には、会衆一同で「もろびとこぞりて」を賛美。石田学理事長が、「さあ、人となって世に来られたキリストの平和を携えて、私たちは世に出ていきましょう。主キリストはいつもあなたと共におられます」と言い、祝祷をささげた。
礼拝後に行われた第34回聖書事業功労者賞の表彰式では、石田氏が肥後氏に感謝状と副賞を授与した。
東京点字出版所はこれまでにも、同協会からの委託を受け、「口語訳点字聖書」と「新共同訳点字聖書」を手がけており、1996年には、肥後氏の父で当時理事長だった肥後信之氏が、第7回聖書事業功労者賞を受賞している。
点字出版一筋40年という肥後氏は受賞後のあいさつで、点字出版は大半が手作業で手間がかかり、近年はインターネットの普及による影響もあるとしつつ、「点字は視覚障がい者の文字ですので、絶対になくなることはないと思っています。今後も視覚障がい者のために、いろいろな本を点字に直していきたいと思います」と話した。
最後にあいさつに立った同協会の具志堅聖(きよし)総主事は、「(点字聖書は)非常に大切なもので、それが神の言葉として、目の不自由な方々の手元にあることは、とても重要なことです。これからも支援をよろしくお願いいたします」と話した。