イスラエルに対する大規模攻撃後に拘束されたイスラム組織「ハマス」の戦闘員らは、それぞれの取り調べで、皆殺しを命じられたと告白し、ある戦闘員は、少女の遺体を犯す許可を与えられていたなどと語った。
10月7日に行われたハマスによる大規模攻撃は、米国や他国の民間人を含む1400人余りが殺害され、約230人が拉致されるというイスラエル史上最悪の攻撃の一つとなった。
イスラエルの多言語オンライン新聞「タイムズ・オブ・イスラエル」(英語)によると、同国の治安当局は、ハマスの戦闘員ら7人の尋問映像を公開した。その映像の中で、同国南部のキブツ(生活共同体)であるアルミムを襲撃した戦闘員は、民家に押し入り、女性や子どもを含む全員を殺すよう命じられていたと語った。
「ハマスがわれわれに命じたのは、彼ら(イスラエル人)の頭をつぶして切り落とし、両足を切断せよというものだった」
この戦闘員は、少女の遺体を犯す許可も得ていたと話す。
イスラエルの諜報機関の一つであるイスラエル公安庁(シンベット)とイスラエル警察が公開した別の映像には、今回の攻撃を主導したとされるハマスの特殊部隊「ヌクバ」の戦闘員6人に対する取り調べの一部始終が含まれていた。
イスラエルの英字日刊紙「エルサレム・ポスト」(英語)が10月15日に報じたように、イスラエル空軍は、ヌクバの司令官でハマスの幹部であるビラル・アル・ケドラ氏を殺害した。
戦闘員の1人は、人質をハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザ地区に連れ帰った者には、1人当たり1万ドル(約150万円)の報奨金とアパートが提供されると証言。また別の戦闘員は、女性や子ども、老人を拉致し、若者を殺すのが命令だったと語った。
さらに別の1人は、民家2軒に放火したと明かし、別の1人は、近づいてきた犬を民家の外で射殺したと述べた。戦闘員らによれば、イスラエルに対する攻撃を実行する間、ハマスの幹部らは隠れ家のアパートに残っていたという。
「イスラエルの治安部隊は、10月7日の大虐殺に関与した全ての戦闘員に報いを受けさせる」とシンベットとイスラエル警察は声明で述べている。
タイムズ・オブ・イスラエル(英語)によると、イスラエル政府は、ハマスによる攻撃を約43分にまとめた映像を、約200人の外国報道陣に見せた。政府は、「リアルタイムで起きているホロコーストを否定するような現象」を払拭するため、この映像を共有することにしたとしている。
映像の上映は閉鎖された軍事基地内で行われ、ジャーナリストらは、ハマスの戦闘員のボディーカメラやSNSなどから集められたこれらの映像を記録することを許されなかった。
一連の映像には、イスラエル国防軍の制服を着たハマスの戦闘員らが車を止め、車中の人々を銃撃する様子も映っていた。戦闘員らは、車から遺体を引きずり出し、時には車も含めた所持品を盗んでいった。
別の映像では、戦闘員らが地面でもがき苦しんでいる男性の首を切ろうとしているところや、救急隊員が、煙が出ている遺体に水をかけているところが映っていた。
殺人や拉致に加え、ハマスの戦闘員らは、女性や老婆、子どもらを極度の性的暴力にさらした。
イスラエル国防軍の兵士に対し宗教的奉仕を行う従軍ラビ隊の女性隊員であるシャリさんは10月20日、英タブロイド紙「デイリー・メール」(英語)や他のメディアに対し、犠牲者らの遺体を洗い、埋葬の準備をしていると語った。シャリさんは、自身が見たものは「ホロコーストよりも悪質だ」と語った。
「女性や老婆、子どもなど、被害者の骨盤を折るほど残忍な集団レイプの証拠がある」とシャリさんは言い、「頭を切り落とされた人々」や、寝巻姿で寝ていた女性が「起こされて撃たれた」ものも見られたと続けた。
シャリさんによると、「顔を吹き飛ばされた」人や、戦闘員らに頭を潰されて脳みそがこぼれ落ちた人もいたという。また、「妊婦から切り出された胎児が斬首され、さらに母親も斬首された」ものを目にしたと話した。
「私たちは遺体を洗い、埋葬の準備をします。私たちは死者に尊厳を与えようとしているのです」とシャリさんは自身の仕事について語った。