やせ細った13歳の少女は、暗闇の中で痛々しいほど体を動かしもがいていた。正確には分からないが、少女はもう何カ月も月日がたっていることは知っていた。空腹でお腹が鳴り、兄がドアの下に焼きバナナを忍ばせてくれることを願った。しかし、父親は彼女を狭い場所に閉じ込めて以来、食事を与えてくれなかったのだ。
スーザン・イスングが2009年にキリストを知った直後、イスラム教徒の父親は彼女を殴り始め、ナイフで殺すと脅したこともあった。何カ月もスーザンにキリストを否定するよう脅して説得した後、父親はついに、彼女を泥でできた狭い小屋に閉じ込めた。近隣住民がスーザンに起きていることに気付き、警察に通報したのだ。
救出直後にスーザンを見舞った牧師によると、スーザンは極端にやせ細っており、歩くことも話すこともできなかったという。
「髪は黄色く変色し、爪は長く伸び、目はくぼんでいました。彼女はとても痩せていて、体重は45キロもありませんでした」
残念なことだが、スーザンのようなケースが起きているのは、決してウガンダに限ったことではない。同国の人口の85%はキリスト教徒だが、イスラム教からキリスト教に改宗すると、家族からの迫害や身体的虐待に直面するのである。
スーザンは狭い部屋に閉じ込められている間、治療をしていないマラリアに苦しみ、数カ月にわたるカルシウム不足が成長期の骨格形成に影響を及ぼした。左大腿骨の2度の大手術によって、彼女は今ようやく松葉杖で歩けるようになった。
彼女を支援する宣教団体「殉教者の声」(VOM)はスーザンの医療費を支払い、ケニアの病院に行くための資金を提供した。また、スーザンとクリスチャンの介護者ドレダの生活費も提供したのだ。2人はスーザンの父親から身を隠すため、別の村に移って保護を受けている。
スーザンはどんな困難にも負けず、信仰を持ち続けている。「私は今キリストのもとにいるから、とても元気よ」と彼女は笑顔で語った。
スーザンを訪ねた第一線の奉仕者によると、彼女は信仰を持ち続けているが、健康上の新たな課題があるという。
「この少女はつらい時を過ごしてきました。しかし彼女は、父親から拒絶され、松葉杖で歩かされたりと散々な目に遭っても、しっかりと立っています。彼女はこれらの試練を乗り越えることにより、一歩一歩、主にあって強くなっているのです」
スーザンはケアをしてくれる人たちのおかげで、神はどんな時も決して信じる者を見捨てないことを悟った。VOMのサポートのおかげで、彼女は特別な身体的ニーズに対応できる学校で中学1年を終え、人生を軌道に乗せつつある。国中の教会で自分の話をし、迫害されているクリスチャンのために祈り続けるよう他の信者に勧めている。彼女はいつか、自分を傷つけた父親や他の人々に福音を伝えることができるようにと願っている。
「今の生活に満足しています。まさか自分が学校に戻れるとは想像もしませんでした。病院に搬送されるたびに、私の人生はもっと大変になるだろうと思っていたけれど、神様は偉大です。私は私を強くする方によって今も強いのです。私の人生を見守ってくれて本当にありがとうございました。皆さんの献金と祈りは、私にとって大きな助けです。これからもどうかお祈りください。一生懸命勉強して大学に入り、私と同じような人たちを助けられるようになりたいです。神様の祝福がありますように」
スーザンの介護者であるドレダも、VOMの援助への感謝をこう述べた。
「VOMがスーザンをサポートしてくれるようになってから、私たちはとても元気になりました。スーザンの健康のために、私たちは何度も病院に通いましたが、私たちが受けている支援は、私たちの必要をカバーするのに十分でした。神は忠実なお方です。皆様の愛に感謝します。神様がいつも共にいてくださいますように」
イスラム教徒からキリスト教徒への改宗には大きなリスクが伴う。信仰を全うしようとするとき、スーザンのように大きな迫害を受ける信者は少なくない。信仰のために大きな戦いを強いられている同胞信者のために、また、彼女の証しが用いられ、同じ境遇にある多くの信者の励ましとなるように祈ろう。VOMのように、迫害を受ける信者のサポートに立つ宣教団体のためにも祈っていただきたい。
■ ウガンダの宗教人口
プロテスタント 9・9%
カトリック 39・2%
英国教会 36・1%
イスラム 11・5%
土着宗教 2・6%
正教会関係 0・1%
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