2015年12月、テロ組織アルシャバブのジハード武装集団が、ケニア北東部のマンデラに向かう途中の民間バスを止めた。
襲撃者たちは乗客に座席から立ち上がるよう強要し、彼らの頭に銃を向けた。いったん外に出ると、テロリストたちはイスラム教徒の乗客たちに、その場でキリスト教徒を公開処刑するため、彼らの中にいるキリスト教徒を申告するように要求した。しかし、バスに同乗していたイスラム教徒たちはそれを拒否したのだ。
バスから出される前に、女性のイスラム教徒は、キリスト教徒の女性と子どもたちを守るために予備のヒジャブを手渡していた。そして彼らがいったん外に出ると、イスラム教徒の乗客たちは、バスに乗っていた全員はイスラム教徒であり、私たち全員を殺すか、そのまま行かせるかどちらかだとテロリストたちに宣言した。
このバス襲撃事件に関する200字ほどの記事を見つけたのが、当時ドイツのハンブルク・メディア・スクールで最終学年の大学院生だったカーチャ・ベンラートだった。彼女はこれを卒業制作の映画にしたのだ。
「記事を読んですぐに鳥肌が立ちました」と彼女は言う。それから2年後、ドイツとケニアで製作された『Watu Wote』(All of Us)は、アカデミー賞短編実写部門にノミネートされたのだ。
イスラム教徒の大半は、穏健であり善良な者ばかりだ。この話にあるように、キリスト教徒の命を救うために自らの命の危険さえ犯す者もある。だからこそ、われわれはこのような人々が、キリストにあって永遠の命を獲得することを願わずにはおれない。
イスラム教徒全体の評判を落とす過激派が、武力という方法によって立つのをやめるよう祈ろう。また、穏健派も過激派も等しくイエス・キリストにあって永遠の命を得ることができるように、彼らの間で活発に奇跡をもって働かれる主と、そのフォローアップをするイスラム伝道に就く兄弟姉妹たちを覚えて祈っていただきたい。
■ ケニアの宗教人口
プロテスタント 56・8%
カトリック 21・5%
英国教会 8・9%
正教 0・8%
土着宗教 7・2%
イスラム 8・3%
ヒンズー 0・4%