英南西部コーンウォール州の人口8千人ほどの町であるローンセストンに、かつて税務署だった建物を改装し、教会兼カフェとして運営されている「ゲートウェイセンター」がある。
マネージャーのテレサ・ピックアップさんは、「ゲートウェイセンターとその地域伝道プロジェクトであるカフェ・アボダ(アボダはヘブライ語で礼拝・奉仕の意味)は、コーンウォール州の町ローンセストンで愛される地域のハブであり、安心できる居場所となっています」と話す。
カフェ・アボダに一歩足を踏み入れると、さまざまなアクティビティーを楽しむことができる。
「私は、編み物とおしゃべりのグループや、ビリヤードを楽しむ男性のグループ、ローンセストン資産相談センターによる借金相談サービスが大好きです」と、ある客は語る。
「ボードゲームで遊んだり、新鮮なスープを楽しんだりできる素晴らしい場所です」と、別の客は話す。
ゲートウェイセンター内にあるこのユニークなカフェは、同センターを含めコーンウォール州内の3カ所に礼拝所を持つゲートウェイ教会とその精力的なボランティアの献身的な活動によって運営されている。
「教会は2013年に、必要とされていたコミュニティーセンターを作るというビジョンを持って、ゲートウェイセンターの建物を借り受けました」とテレサさんは説明する。
このプロジェクトの中心は、近年英国で人気が高まっている社交の場としてカフェを設立することだった。
「カフェ・アボダは、地域が(新型コロナウイルスの)ロックダウンから抜け出したときに誕生しました」
ゲートウェイセンターは、祈祷室、ドロップインセンター(誰でも立ち寄れる社会福祉サービス提供施設)、ランドリー施設、キッチンを備えた3階建ての建物だ。最上階は、ゲートウェイ教会の礼拝所となっており、毎週日曜日にはたくさんの信徒が集まり、満席となる。テレサさんの夫であるケビン・ピックアップ牧師がメッセージを伝えている。
「私たちは、礼拝と伝道の中心となる多面的でモダンな教会を構想していました」とケビン牧師。「私たちは、カフェを併設することで、訪問者に各々が支払える料金で食事を提供し、ゲームや仲間との交流、聖書研究を行うことにしたのです」と言う。
テレサさんは、「教会の信徒たちが元気付くにつれ、イエス・キリストがもたらす変化と復活のメッセージが地域全体に広がっていきました。それを目撃するのは素晴らしいことでした。私たちは祝福されており、聖霊の臨在を見てきました」と話す。
「町の中心部にある私たちの温かく安全な空間は、全ての人を歓迎しています」と、カフェ・アボダで愛情を込めて食事を作るテレサさんは語る。「私たちは、特に最近の(食料品やエネルギー価格高騰による)生活費危機の間に、訪問者が増えていることに気付きました。私たちのカフェは広くて開放的なので、人々は自由に出入りできます」
カフェのメニューは、作りたての食事やスープ、ケーキ、温かい飲み物までさまざまだ。
「私たちは、無料で、あるいは人々が払えるだけのお金でスープを提供するハブ的な存在なのです。私たちは、神様が私たちの会計よりも、人々の健康を大切にされていると信じています」
カフェ・アボダの特徴は、双方向的で地域指向のアプローチだ。
「コーヒーを飲みに来る人はほとんどいません。彼らは交流したり、チェスやジグソーパズルのようなゲームで遊んだり、大きなテーブルで話をしているグループに加わったりしています」
カフェ・アボダはまた、地域の交流の場であると同時に、支援が必要な人々に社会福祉サービスを提供する場でもある。
ケビン牧師は、「サポートワーカーたちがよく彼らの利用者たちを連れてくるので、一体感が生まれます」と話す。
カフェ・アボダはさまざまな民間機関や政府機関と協力し、支援やサポートを提供している。
「ローンセストン資産相談センターは、無料の借金相談と金銭管理のサービスを提供しており、依存症対策の慈善団体である『ウィー・アー・ウィズ・ユー』も、サポートとアドバイスを提供しています」
カフェ・アボダはまた、ホームレスのためのクーポン券事業にも積極的に参加しており、ホームレスに食事や衣服の洗濯乾燥設備の利用を提供している。
一方、ゲートウェイセンターは、延べ床面積が約930平方メートル(テニスコート5面分)と、大きな建物であるため、光熱費やその他の一般的な維持管理費のために、幾つかの課題に直面している。しかし、ケビン牧師とテレサさんは、地元の議会や地域社会の支援に後押しされ、そうした状況にも動じずに楽観的であり続けている。
「私たちを導いてくださる神に、これまで以上に頼っています。人々の人生が一変するのを目の当たりにするのは、信じられないほど充実感があります。人々がうつ病、失業、貧困、孤立を克服し、健康で幸せな人間に成長するのを見るのは、計り知れない喜びです」