トルコ南東部のシリア国境近くで、マグニチュード(M)7・8と7・5の2度にわたる巨大地震が発生してから、6日で半年となった。両国を含め世界各国で支援活動を行うキリスト教国際NGO「ワールド・ビジョン」は、特にシリア北西部で人道状況がかつてないほど悪化しているとし、国際社会に被災地への支援を呼びかけている。
ワールド・ビジョンによると、シリア北西部では、仮設住宅で暮らす家族の数が増えていることが大きな懸念の一つ。地震から半年がたった現在も、地震で住居を失った約26万5千人が、適切な住居を必要としている状況だという。
さらに、夏の猛暑により火災が相次いで発生していることも、こうした懸念に拍車をかけている。今年に入ってから既に180件以上の火災が発生しており、7月には3日間で40件以上の火災が発生したこともあるという。こうした火災により、5人が死亡、220以上のテントが消失している。
また、シリア北西部に対する食料配布の削減により、約250万人が深刻な飢餓のリスクにさらされ、すでに深刻化している危機をさらに悪化させているという。現地の食料不安は驚異的なスピードで高まっており、現在、推定で1210万人が食料不安の影響を受けている。栄養不良率は過去最悪を記録しており、妊娠中および授乳中の母親の4人に1人が急性栄養不良状態にあり、一部地域では子どもの4人に1人が発育不良に陥っている。
ワールド・ビジョンは、シリア対応事業を2011年から、シリア国内だけでなく周辺国のヨルダン、トルコでも行っており、難民や国内避難民、また彼らを受け入れているコミュニティーに対し支援を行っている。シリア対応事業の責任者であるヨハン・モイジ氏は、「壊滅的な地震から半年が経過した今、シリアの人々は、地震の影響だけでなく、長引く紛争、経済不況、コレラの流行、厳しい気候などの苦しみとも闘っています」と話す。
ワールド・ビジョンはこれまで、トルコ、シリアの両国で80万人を超える人々を支援しており、このうち子どもは36万人を超える。
モイジ氏は、「厳しい状況に立ち向かう被災した人々のくじけない心、ワールド・ビジョンの現場スタッフやパートナー団体の根気強い支援は、希望の光となっています」と話す。その一方で、「国際社会の支援と注目は依然として必要不可欠です」とし、個人や企業、政府、国際機関に対し、被災地の復興のために支援をするよう呼びかけている。
トルコ、シリア両国の被災地への緊急支援のための寄付は、ワールド・ビジョン・ジャパンの専用ページで受け付けている。