神戸国際支縁機構は、大雨による影響などで河川の氾濫や浸水被害などに見舞われた九州北部を訪れ、現地で調達した物資を被災者に配布するなどした。九州北部は10日、明け方から相次いで発生した線状降水帯により記録的な大雨となり、河川の氾濫や浸水、土砂崩れなどが各地で発生した。
同機構は、大雨の2日前からボランティアのため九州を訪問しており、10日は河川の氾濫により冠水したビニールハウス群や、濁流が流れる河川、冠水して車が立ち往生する道路などを直接確認した。
福岡市近郊の志免(しめ)町では、増水し濁流が流れる宇美川の様子を片峰新橋近くで確認し、動画で撮影。同機構の岩村義雄代表(神戸国際キリスト教会牧師)によると、10日午前8時ごろには、志免町全体の住民に対して避難を促す警報がスマートフォンに入ってきたという。西日本新聞によると、福岡市では午前6時までに、市内7区の延べ9万1817世帯、18万9858人を対象に避難指示が出されるなどした。
その後、志免町から車で南に1時間ほどの福岡県久留米市善導寺町を訪問。正午過ぎに訪れた際には、道路が冠水して車が立ち往生していた。同町島地区は浸水深が最大約3・8メートルにも及び、住民の多くは、これまでにない水害だと話していたという。
午後3時ごろには、久留米市北野町を訪問。同町では推定40ヘークタールに及ぶビニールハウス群が冠水し、まるで海一面のようになっていた。久留米市は中心部を筑後川が流れており、今回の大雨では筑後川水系の複数の河川が氾濫した。
一方、岩村氏らは9日には、北九州市の畑(はた)ダム(遠賀川水系)の放流を確認。また、10日午後4時ごろには、福岡県朝倉市の寺内ダム(筑後川水系)の放流を確認したという。読売新聞などの報道によると、寺内ダムは10日午前9時50分から緊急放流を始め、下流域の河川で氾濫の恐れがあるとして、自治体に注意が呼びかけられていた。
岩村氏はこれまで、国内外で発生した数々の水害被災地を訪問してきたが、これらの水害の多くは、砂防ダムの決壊や、大雨時などにおけるダムの放流が影響していると考えている。今回の水害についてもダムの放流が影響したと見ており、放流に関する報道がわずかしかないことには疑問を投げかけた。
今回の九州北部訪問の報告や、寺内ダムの放流動画、岩村氏によるダムを巡る論考は、同機構のホームページで詳細を見ることができる。