『こころの解放』の著書で知られるカナダのクリスチャン精神衛生医師グラント・マレン氏を招き、うつ病などの心の病について学ぶセミナーが3日、東京のお茶の水クリスチャン・センターで開かれ、約110人が参加した。マレン氏は、人を構成する身体・人格・霊という3つの領域ごとに、人の抱く恐れが、いかに心の癒やしの妨げになるかを解説。「恐れは信頼の対極にある」とし、「信頼が大きくなれば、自然に恐れは小さくなる。自分でも友人でも政府でもなく、神様への信頼だけが恐れを解決できる」と語った。
マレン氏は、恐れがコロナ禍によってさらに人々の間に広がり、世界的に大きな問題になっていると指摘。イザヤ書12章2節の言葉「私は信頼して恐れることはない」を引用し、「神様は、私たちが恐れによって苦しむことを願っておられない」と話した。
危険から身を守るための「健康的な恐れ」もあるが、「不健康な恐れ」もあるとマレン氏。身体の領域では、それがうつ病などの気分障害や不安障害となって現れる。これには、医学的な治療で対処できるとし、「眼鏡をかけることと同じで、薬を服用することは決して恥じることではない。イエス様は、癒やしに向けたプロセスも一緒に歩みたいと願っておられる」と話した。
一方、霊の領域では、悪霊が人の思いに働きかけ、人を不安にさせたり、恐れさせたりすることができると指摘。これに対処するには、苦い過去の記憶とそれに対する解釈を聖書の言葉によって正しく処理し、いつも苦い過去を思い起こさせようとする悪霊に隙を与えないことが大切だと説明した。また、恐れの言葉が頭に浮かんだらすぐに同意せず、それがどこから来たかをさぐり、いつもイエスに「これは真実ですか、それとも敵のわなですか」と聞いて聖書の言葉と照らし合わせることで、悪霊の攻撃から守られると語った。
恐れは、人間関係にも深刻な影響を及ぼす。不健康な恐れを抱く人は、人と親密な関係を築くことが困難になり、特に夫婦の関係で問題が顕著に現れるという。人との関わりを拒むことは霊的な成長にも悪影響を及ぼすとし、「神様への信頼を大きくすることで恐れをなくし、イエス様と共に成長することを恐れてはならない」と話した。
その上で、「イエス様が十字架にかかってくださったことにより、私たちはイエス様の家族とされた。この地上でイエス様が父なる神様と深い関係を持っていたように、私たちも神様と本当に近い関係を持ちながら、その完璧な愛と一緒に歩むことができる」と励ました。
マレン氏は、「私たちはいつでも神様の膝の上に乗って、何でも神様に話すことができる。神様は今、この大きな愛を受け取ってほしいと私たちを導いてくださっている。これは私たちへのプレゼント。それをただ受け取ることを待っておられる」と呼びかけた。
セミナーは、キリスト精神に基づき人道支援活動や心のケア活動を行う国際NGO「オペレーション・ブレッシング・ジャパン」(OBJ)が、心のケア活動の一環として開催した。マレン氏の来日は4年ぶり2回目。東京の他、千葉(6~8日)、大阪(10日)、石狩(12~16日)、仙台(17日)で開催する。いずれも定員があり、事前申し込みが必要。千葉と仙台はすでに申し込みを締め切っている。セミナーの詳細・申し込みは、OBJのウェブサイトを。