学校法人海星女子学院(梶田行雄理事長、神戸市灘区)は17日、運営する神戸海星女子学院大学(石原敬子学長、同)について、2024年度以降の学生募集を停止すると発表した。12日に開催した理事会で決定した。
大学のホームページに掲載された発表によると、18歳人口の減少や、女子の実学志向、共学志向、大規模校志向といった近年の社会情勢の変化により、入学定員確保に苦慮する中、今後、継続した定員充足は極めて困難だと判断。閉学を前提とした学生募集停止という苦渋の決断に至ったとしている。
今後は、全ての在学生が卒業するまで充実した学生生活を送れるよう、教職員一丸となって現在の教育環境を継続し、進路・就職支援を行っていくと表明。各種証明書など必要書類の発行については、閉学後は学校法人で対応するとしている。
また、在学生とその保護者、高校、その他の関係者に対しては、学生募集停止に関する文書を14日付で発送。在学生やその保護者に対しては、後日説明会を開催する予定だという。
海星女子学院は、大学以外に幼稚園、小学校、中学校、高校を運営しているが、各学校・園は独立して健全に運営されているとし、「大学の募集停止により不利益が生じるものではございません。今後も変わらず園児・児童・生徒たちの教育に力を尽くしてまいります」としている。
神戸海星女子学院大学は、現代人間学部に英語観光学科と心理こども学科を設置する1学部2学科体制で、入学定員は95人、収容定員は380人。大学が公開している資料によると、収容定員の充足率は、19年度と20年度は100%を超えていたものの、21年は98・4%、22年は82・4%と定員割れとなっていた。
また、別の資料によると、入学者数は、19年度と20年度は定員を上回っていたが、21年度は80人と定員を下回り、22年度は30人にまで激減していた。
海星女子学院は、カトリックの女子修道会である「マリアの宣教者フランシスコ修道会」が、前身となる高等聖家族女学校(神戸市生田区)を1946年に引き継ぎ、51年に学校法人として設立された。同年に小学校、中学校、高校を、翌52年に幼稚園を設置。55年には短期大学(現在は廃止)を設置し、大学は65年に設置された。
建学の精神は、マリアの宣教者フランシスコ修道会の創設者、シスター・マリ・ド・ラ・パシオンが大切にしていた言葉「真理と愛に生きる」。キリスト教的価値観を土台とした全人教育の実現を目指し、グローバルな視野をもって社会に奉仕することのできる女性の育成に取り組んできた。
法人名や校名に含まれる「海星」は、ラテン語では「ステラ・マリス」(「海の星」の意)で、カトリック教会内では聖母マリアの別称として用いられている。
私立の女子大学では、プロテスタント系の恵泉女学園大学(東京都多摩市)が3月末、同じく閉学を前提に2024年度以降の学生募集を停止すると発表している。